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年末年始ノート(5)丨大好きな松尾先生と語り合った学習院大学法学部での講義―2024年から2025年へ

読者の皆さま、2024年も大変お世話になりました。2025年もご指導ご鞭撻をどうぞよろしくお願いします。2024年の多忙を理由にタイムリーに皆様にシェアできなかった内容を1つ1つ短くお届けしてまいります。皆様の2025年のアイデアやお取り組みのお役に立てば幸いです。

1月3日の第5回は、2024年に共有が間に合わなかった、2024年12月12日に学習院大学で行った特別講義について、今回はその内容と感じたことを共有させていただきます。個人的な大ファンで大好きな弁護士・松尾剛行先生の授業への初参加・初ゲストスピーカーということで特に一生懸命準備を行いました。

学習院大学 法学部 様 特設基礎講義(キャリア・デザイン:企業法務)「10兆円法務 3つの秘密」ゲスト講師(2024年)

学びと挑戦:学習院大学での講演と松尾先生からいただいた刺激

この講義は、特別客員教授であり実務家でもある松尾剛行先生の授業「キャリア・デザイン:企業法務」の一環として実施されました。学習院大学の法学部の学生の皆さんと交流する中で、私自身も初心に戻り、多くを学んだ素晴らしい機会でした。

リスクテイクの「怖さ」、そして「魔法」

講義のテーマは、「10兆円法務 3つの秘密」でした。

このタイトルは、一見派手に聞こえますが、「法務部の話なんてだりい」―とならないように、九州大学法学部での講義は1年生向けで優しすぎ、法科大学院1年生向けの内容は「法曹」に特化しすぎ、今回はほぼ新作で興味関心を高めるためにテストを続け、初稿完成後も満足いくまで1.5ヶ月作成に要しました。

内容は、法曹志望者に限らない(=ここの塩梅が難しい、全体の1割の法曹志望者に向けてもHelpfulではないし、かといって、私の経験がお役に立てるものでないとそもそも登壇する付加価値がない)、実用的なものです。60分間で次の3つのポイントを共有しました:

  1. リスクテイクの「怖さ」:リスクを取らない選択が、時に最も危険な結果を生む。
  2. リスクを見極める「技」:適切なリスク評価と対処のプロセス(リーガルリスクマネジメント)。
  3. リスクを消す「魔法」:ルールそのものを変えるための長期的なアプローチ。

特に、Airbnbが直面した日本の旅館業法の課題を例に挙げ、学生たちに「リスクを恐れるだけでなく、どう向き合うか」が重要であることを伝えました。この部分では、私が経験した実例に基づく具体的な対策を分かりやすく説明しました。

松尾先生との対話:熱意に触れる

講義後、松尾先生の客員研究室を訪問しました。

そこで感じたのは、先生の学生への熱意です。日々の忙しい業務を抱えながらも、学生一人ひとりに向き合い、彼らの成長を真剣に支えている姿勢は、私自身に大きな刺激を与えてくれました。

松尾先生の「教育者」としての爽やかな気持ちとワクワクしたご様子を拝見し、私も心を打たれました。

学生たちへのメッセージ:挑戦を楽しむ

講義を通じて、私が伝えたかったメッセージはシンプルです。

それは、「挑戦を恐れず、必要な範囲で、リスクを取り、それを楽しんでほしい」ということです。リスクテイクには必ず怖さが伴います。しかし、それを乗り越えた先には、予想を超える学びと成長が待っています。

学習院大学法学部の皆さんに向けた講義では、どのようなお話をすれば彼らに興味や関心を持っていただけるのか、事前準備として多くの方々から貴重なアドバイスを頂きました。特にOB・OGの方々や、学習院で高校まで学ばれた方々の声は非常に参考になりました。

学習院の学生の特徴を理解して
東大や慶應義塾大学の学生に見られるようなキャリアに対する積極性や競争心は、良い意味で必ずしも同じではないと伺いました。真面目で、自分のペースで物事を考える学生が多いとのことです。また、学習院ならではの特徴として、家業を継ぐなどの人生設計をする学生も一定数おり、キャリア構築に限定した内容ではなく、より普遍的なテーマが求められるとも教えていただきました。

そのため、キャリア向上を前面に出すのではなく、「リスクテイクをどう賢く行うか」という、人生の局面で応用可能なテーマを軸に話を組み立てました。このテーマは、どのような人生を歩むにせよ直面する可能性が高いものであり、学生一人ひとりに静かに問いかけるような内容を心掛けました。

学生からの熱心な質問とフィードバック
講義当日、学生たちから寄せられた質問は想像以上に具体的で実務的でした。外資系企業への興味関心にとどまらず、「リスクを取る際の意思決定プロセス」や「法務の専門家としてのキャリア構築に必要なスキル」について熱心に尋ねられ、私自身も考えさせられる時間となりました。講義後には、「これまでリスクを取ることに臆病だったが、先生の話を聞いて多角的なアプローチを学べた」という学生からのフィードバックをいただき、とても嬉しく思いました。

準備と共感の重要性
この講義を通じて感じたのは、心を込めた準備と、学生たちの特性を理解した内容が重要であるということです。事前に伺ったアドバイスをもとに話を組み立てたことで、彼らの心に語りかけることができたのではないかと実感しています。

学習院大学の学生の皆さんが講義から何か一つでもヒントを得て、将来の選択肢を広げるお手伝いができたのであれば、それほど嬉しいことはありません。

最後に

この講義を通じて、私自身も学ぶことが多く、また学生たちから新たなエネルギーをいただきました。松尾先生をはじめ、学習院大学の皆さまに心から感謝申し上げます。本年も、こうした学びの機会を大切にしながら、さらに前進していきたいと思います。

もし、大学関係者の皆様で、教えの皆様にゲストスピーカーとして何かお役に立てる可能性があれば、ぜひ面識があってもなくても一度ご連絡ご相談を賜れればとてもうれしいです。企業様とは異なり、大学やロースクールなどの教育機関からのお願いの場合には、教育機関様の所定の講演料・授業料の範囲内で、ゲストスピーカーに対応しております。将来法律家になるかもしれない先生方の教え子に、企業法務や米国IT企業での最先端のワクワクするようなリーガルの世界お話しできる事は、私にとっても光栄なことですので、どうぞご相談いただけたら嬉しいです(メールフォーム)。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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