組織内弁護士・法務部員が理解したい「リーン戦略」のエッセンス[2/3]丨HBR2025年5-6月号の掲載論文

火曜日・金曜日は集まれ! #法務のみんなで一緒に前進

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨

「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

一緒に学ぶ論文はこちら

Michael Mankins (2025). Lean Strategy Making – Standardizing your company’s approach can pay off. Here’s how, Harvard Business Review, 103(3), 42-51.

全体像丨わかりやすくまとめてみる

<わかりやすくまとめてみる> 本論文は、「部活の大会に挑むチームづくり⚾️」にたとえるとわかりやすいです。

└ はじめに、高い目標を掲げる監督が「次の大会でベスト4に入ろう」と少し背伸びした目標を示し、みんなのやる気を引き出します。
└ 次に、足りない力を洗い出す現在の実力と目標との差を調べ、「体力強化」「戦術研究」など課題リストを作り、練習メニューと担当者を決めます。
└ 最後に、練習毎に(例:練習試合の)結果を振り返り、戦術やポジションをこまめに修正して、目標とズレないようにします。

こうして「高い目標→ギャップ分析→定期調整」を回し続けることで、チーム全体の判断が速く正確になり、勝つ確率がぐっと上がる―これが「リーン戦略」のエッセンスです。多分。

個別丨本日のポイント

  1. 筆者の研究によれば、バックログに関する各問題は、①Facts & Alternatives、および、②Choices & Commitmentsという2段階会議で処理すればよい(らしい)。
    • 第1段階では成長阻害要因や顧客体験など「症状の裏側」にある真因まで掘り下げ、複数の代替案を生成。評価基準(将来キャッシュフローなど)は企業横断で標準化し、恣意的判断を排除。
    • 第2段階では評価結果を踏まえ「唯一の案」を選定。マイルストーンと資源(OPEX・CAPEX・人材)を確定。選択の経緯は「ディシジョン・ログ」に記録し、否決案と理由まで透明化。よってもって、いわゆる廊下戦術やサイレント拒否権(veto)を封じる。
  2. 例えば、Dell Technologiesは、2015年、販売モデル再設計をバックログの最上位課題に据え、「販売員が担当する製品数」や「テリトリー再編」など4件の意思決定を実施した。結果、販売員を2,000名超追加し営業効率を高め、市場シェアをPC・サーバー・ストレージで拡大できた。Dell Technologiesは2013年の非公開化以降、この「二段階法」を全戦略決定に適用し、10倍超のリターンを実現している。
  3. 筆者は、資源コミットメントと結合した標準手順こそが、実行段階での失速を防ぐ鍵となると主張する。

30秒考えてみよう。

  • 皆さんはどう思われますか?
  • 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
  • この論文をシェアしたら喜びそうな事業部の方はいらっしゃいますか?(Web版は月1−2記事無料で読めるので、探してシェアしてみてはいかがでしょうか?)

HBRの定期購読のおすすめ

毎号、自宅のポストに届くのを心待ちにしています、下記は最新号の表紙です。ビジュアルも大変美しいです。 / I strongly recommend/encourage your subscription to the esteemed HBR. It’s truly meaningful.

ハーバード・ビジネス・レビューを読もう丨法務のみんなで一緒に前進
ハーバード・ビジネス・レビューを読もう丨法務のみんなで一緒に前進

もうちょっと勉強したい人へ丨関連HBR論文

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨

***

ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。