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【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第6回―関与の三原則「創造性・協働・イノベーション文化」を築くために(その1)

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第6回―関与の三原則「創造性・協働・イノベーション文化」を築くために(その1)

◯✕ 問題<正解は末尾>
問1 次の文は正しいか?― 本章で紹介される「Yes, and …」の原則は、相手の提案を一旦受け止めたうえで自分の考えを乗せて発展させることを目的としている。

問2 次の文は正しいか?― Dweck の研究によれば、成長マインドセットを持つ人も固定マインドセットを持つ人も失敗を同じように捉えるため、学習成果に大きな差は生じない。

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毎週日曜の朝に更新し、日本では未翻訳の名著に光を当てます。

著者ミシェル・デステファノ氏マイアミ大学ロースクール教授であり、ハーバード・ロースクールのエグゼクティブ教育プログラムでも教鞭を執る法律教育者です。米国法曹協会からLegal Rebelに選出され、フィナンシャル・タイムズでも「最も革新的な弁護士」トップ20の一人と評価されています。

現在、Airbnbのグローバル法務で各国のリーガルテックに触れる中で、本書のポイントを自分なり取捨選択して謹んで共有したいと考えました。学びの途上として整理した私なりのメモを、毎週日曜朝に全12回でお届けします。

本連載を最後までお読みいただければ、法律事務所でも企業でも「新しい時代の法律家」に求められる視点をデスゲファノ教授から学べると思います。本書から共に学ぶ時間を、私自身も楽しみにしています

Michele DeStefano, Legal Upheaval: A Guide to Creativity, Collaboration, and Innovation in Law (Ankerwycke 2018). [Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

関与のルール1:オープン・マインド(開かれた思考)

デスゲファノ教授は、「関与のルール1=オープン・マインド」を掲げ、弁護士が創造的協働を実現するための心構えと実践法を示します。

  • 「Yes, but…」ではなく「Yes, and …」で相手の発言を受け止めて広げること
  • 会議では上位者が最初に話さず、全員が均等に発言機会を持つことで心理的安全性を確保すること
  • Dweck の成長マインドセットを採り入れ、失敗から学ぶ姿勢を育成することで、偶然を活かす「幸運を呼ぶ準備」を整えること

これらの態度・行動が結び付くことで、弁護士は固定観念や階層構造を超え、クライアントと共に価値を創出する真のパートナーへと進化できることが示されています。

<本日の答え合わせ>
◯✕ 問題


問1 次の文は正しいか?― 本章で紹介される「Yes, and …」の原則は、相手の提案を一旦受け止めたうえで自分の考えを乗せて発展させることを目的としている。
答 ◯

理由 本文ではインプロ(即興劇)の基本として「Yes, and …」を挙げ、否定せずに受容と追加を行う姿勢が傾聴と共創を促すと述べているため正しいです。

問2 次の文は正しいか?― Dweck の研究によれば、成長マインドセットを持つ人も固定マインドセットを持つ人も失敗を同じように捉えるため、学習成果に大きな差は生じない。
答 ✕

理由 本文は成長マインドセットが「失敗=学習機会」と捉えるのに対し、固定マインドセットは能力の限界と解釈して挑戦を避けると説明しており、両者の成果には差が生じるため誤りです。

お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。

原著購入の推薦 最後に、本書は「AI時代」到来前の2018年に刊行されながら、リーガルオペレーションや「テック×法務」を先取りし、リーガルテック導入時に直面する障壁を分かりやすく説明しており、非常に学ぶ価値の高い書籍であると考えています。もし研究・実務などでご関心があれば、右のURLからぜひご購入をご検討ください。[Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。