Associate General Counsel(アソシエイト・ジェネラル・カウンセル)とは?

Associate General Counselとは?
Associate General Counselとは?

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要点丨Associate General Counsel(アソシエイト・ジェネラル・カウンセル)とは?

1 米国や欧州の多国籍企業においてジェネラルカウンセル(最高法務責任者)、Deputy General Counsel(DGC)に続く、「3番手」に位置づけられる上級社内弁護士職。
2 部門横断でジェネラルカウンセル(最高法務責任者)及びDeputy General Counsel(副最高法務責任者)を補佐し、訴訟戦略やガバナンスをリードするビジネスパートナー。
3 日本語訳は「アソシエイト・ジェネラルカウンセル」が適切(理由は後掲)、外資系では英語表記のまま用いられることが多い。

1 直訳と適訳

英語表記直訳適訳の例
Associate General Counselアソシエイト・ジェネラルカウンセル(難しい・適語なし)

「Associate(アソシエイト)」は「補佐役」「次席」を示し、「General Counsel」は「最高法務責任者」を意味します。

後述の通り「アシスタント・ジェネラルカウンセル」は別の中堅の職位であり、アソシエイト・ジェネラルカウンセルとは異なる

2 組織ヒエラルキーでの位置

  1. Chief Legal Officer/General Counsel(ジェネラルカウンセル)
  2. Deputy General Counsel
  3. Associate General Counsel
  4. Assistant General Counsel/Lead Counsel
  5. Senior Legal Counsel
  6. Legal Counsel/Corporate Counsel

3 主な責務(7項目)

  • 企業全体のリスク管理・訴訟戦略の立案
  • 取締役会や経営陣への法律助言
  • 規制対応・コンプライアンス体制の整備
  • 外部法律事務所の選定・マネジメント
  • 部門横断プロジェクトでの法務ガバナンス主導
  • 部下となる弁護士・スタッフの育成と評価
  • ジェネラルカウンセルやDeputy General Counsel(副ジェネラルカウンセル)不在時の代理対応

4 専門サイトによる定義(英語原文+和訳)

“An Associate General Counsel works in the legal department of a company or organisation… The Associate General Counsel is usually an experienced lawyer who supports and reports into the General Counsel.”
—Juro「A guide to the types of General Counsel」

「アソシエイトジェネラルカウンセルは企業の法務部門で働き、経験豊富な弁護士として、ジェネラルカウンセルを補佐し報告する。」

“Associate and Assistant General Counsel roles further delegate legal responsibilities to support General Counsel or the Chief Legal Officer… Associate GCs occupy a more senior position than Assistant GCs.”
—LawVu「In-house legal job titles defined」

「アソシエイトジェネラルカウンセルは⋯GCやCLOを支援するために法務業務を委任され、アソシエイトジェネラルカウンセルの方が上位に位置づけられる。」

“Under the general direction of the General Counsel and Deputy General Counsel, the Associate General Counsel oversees the Litigation and Employment Law Section… and provides executive-level leadership.”
—CalPERS求人情報

「ジェネラルカウンセルおよび副ジェネラルカウンセルの指揮下で、アソシエイトジェネラルカウンセルは訴訟・雇用法部門を統括し、エグゼクティブレベルのリーダーシップを発揮する。」

5 キャリアパスと報酬感

米国のIT企業では年収25万〜40万USD(日本円で4000万円〜6000万円程度)が一般的レンジと言われているそうです。Deputy General Counselや部門や国別のGeneral Counselを経て最終的にCLO/GC(ジェネラルカウンセル)に昇進するケースが多く、日本企業でも海外子会社を管轄する形で同格ポジションが増えています。

6 よくある質問(FAQ)

Q1:Associate(アソシエイト)General Counsel と Assistant(アシスタント)General Counselの違いは?
ややこしいのですが、Assistant (アシスタント・ジェネラルカウンセル)は実務寄りの中堅ポジションと言われており、Associateはより経営層に近く報酬帯も高く上級ポジションと言われているようです。

Q2:Deputy General Counselとの違いは?
Deputy General Counselは組織上2番手であり。Associate General Counselは、組織上3番手であり、Deputy General Counselの方が職位が高い。案件や部門を主導する上級スタッフ的役割。

Q3:日本企業での呼称は?
非常に難しいのですが、Deputy General Counselを「副最高法務責任者」と翻訳する場合、「法務部副部長」という翻訳はピンときません。カタカナ表記または英語表記を維持するのが無難。重要なこととしては、職位上、General Counsel>Deputy General Counsel>Associate General Counselと概ね上から3番手の職位であることがポイントとなります。

7 まとめ

Associate General Counselは、GCを頂点とする法務組織の中核を担い、戦略性と実務能力の双方が要求されるポジションです。外資系企業への転職や社内昇進を目指す法務プロフェッショナルは、職務範囲とキャリアステップを正確に理解し、自身のスキルセットとの適合を検討することが重要です。

本記事の信頼性(E-E-A-Tの観点からの補記)

  1. 著者・監修者の豊富な実務経験(Experience)
    • 日本法の弁護士。
    • Airbnb JapanのLead Counsel及び取締役としてホームシェアリング事業やデジタルプラットフォーム法務を牽引。
    • 受賞多数・政府委員会活動など、高度な実務経験に基づく信頼性。
  2. 専門性(Expertise)
    • 弁護士資格を有し、外資系法律事務所とIT企業でキャリアを積む。
    • カリフォルニア州司法試験への挑戦、各種学会発表など学術的な側面でも蓄積。
  3. 権威性(Authoritativeness)
    • 日本組織内弁護士協会(JILA)理事や経産省・デジタル庁検討会メンバーとしての活動。
    • NHK クローズアップ現代出演。
    • 公式の法律文献での引用実績やISO規格のWG委員。
  4. 信頼性(Trustworthiness)

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渡部 友一郎 弁護士より:
「インハウスローヤーとしてのキャリアは、単なるコンプライアンスやリスクヘッジの枠にとどまりません。ビジネスを“前に”進める力が、これからの法務部門に求められる最大の価値です。日々の情報収集や学習を積み重ね、企業や社会全体に貢献する“攻めの法務”を目指してみてください!」

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