2024年6月時点で企業内弁護士(インハウスローヤー)を多数採用している企業ランキングを短くまとめました。どの業界が弁護士を積極的に迎え入れているかを確認し、インハウスローヤーの今を知りましょう。
出典:日本組織内弁護士協会 企業内弁護士数の推移(IT企業に勤務する尊敬するある先生が毎年毎年丁寧にまとめてくださっている一級の資料です。)
1. いきなりランキングTOP10
採用企業数:1,493社/採用人数合計:3,391人(2024年6月時点)
順位 | 企業名 | 採用人数 |
---|---|---|
1 | LINEヤフー | 74 |
2 | 三井物産 | 36 |
3 | 三井住友信託銀行 | 35 |
4 | アマゾンジャパン | 31 |
5 | 丸紅 | 28 |
6 | 三菱UFJ信託銀行 | 26 |
7 | 野村證券 | 25 |
8 | アクセンチュア | 24 |
9 | 電通 | 23 |
10 | 三菱UFJ銀行 | 21 |
注目ポイント
- IT/通信業界:LINEヤフーやアマゾンジャパンが上位に。データ・プラットフォーム規制の強化に対応
- 総合商社:丸紅・三井物産など、海外M&A案件が多い企業が弁護士を多数採用
- 金融機関:メガバンク(信託含む)や証券大手がTOP10に複数ランクイン
2. なぜこうした企業が上位を占めるのか?
- グローバル化への対応
- 海外法務や国際取引でスピーディーに動く必要があるため、社内に弁護士を多く確保する
- コンプライアンス強化
- データ保護法、金融商品取引法などの規制対応に、専門家を常駐させるメリットが大きい
- コストとリスク管理の両立
- 案件ごとに外部事務所へ依頼するより予算管理がしやすく、緊急対応も即座に可能
3. 上位企業の業界別傾向
- IT・通信セクター
LINEヤフー(74人)・アマゾンジャパン(31人)など、大規模プラットフォームが豊富な法務人材を抱える傾向 - 金融・証券
三井住友信託銀行(35人)、野村證券(25人)など、金融商品や投資案件に関わる法令順守が必須 - 総合商社
三井物産(36人)、丸紅(28人)など、海外法務や複雑な契約交渉を伴う事業が多いため、弁護士数を増やしている
4. 企業内弁護士が増える理由
- ビジネススピード重視
- グローバル取引やデータ関連ビジネスで迅速な法的判断が必要
- “攻めの法務”として経営に直結
- 新規事業・M&A・ロビイング活動など、経営戦略に密接に関わる
- 人材獲得競争の激化
- 企業による弁護士の争奪戦が活発化し、採用人数増大につながっている
5. 転職・就職を検討するインハウスローヤーへのポイント
- ランキングだけで企業を判断しない
- 弁護士数が多い=必ずしも働きやすいわけではない。担当領域や企業カルチャーを確認
- 語学スキル・柔軟性が重要
- IT、商社、金融など海外法務や先端ビジネスが多い分野では英語力や新しい分野への理解が必須
- キャリアパス
- ゼネラルカウンセル(CLO)や役員クラスへの昇進可能性など、中長期的なキャリア視点で選ぶ
6. まとめ
企業内弁護士のランキングを見ても、IT・通信、総合商社、金融機関などで特に多くの弁護士が活躍中であることがわかります。こうした企業はデータ規制や海外取引の複雑化、コンプライアンス要請に伴い、インハウスローヤーを大幅に採用。
今後はスタートアップやメガベンチャーでも採用が増える見込みがあり、法務人材の争奪戦は一層激しくなるでしょう。
更新日:2025年2月22日
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言には対応しておりません。採用人数などの最新情報は各社の公表データや公式発表を参照ください。
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あなたへのメッセージ
渡部 友一郎 弁護士より:
「インハウスローヤーとしてのキャリアは、単なるコンプライアンスやリスクヘッジの枠にとどまりません。ビジネスを“前に”進める力が、これからの法務部門に求められる最大の価値です。日々の情報収集や学習を積み重ね、企業や社会全体に貢献する“攻めの法務”を目指してみてください!」
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