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『戦略的なイノベーションへの新しいアプローチ』メモ(2)丨ハーバード・ビジネスレビュー最新号23年9−10月号

ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読んでおります。後日、講演や文献で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。次に、興味深く読み進めたのが『イノベーション』をより分析的に生起させるための枠組みを論じた論文でした。

なお、英語力に乏しく、自身の理解に限界があるため、必ず、ご自身で原典をご購読・ご精読いただけたら幸いです。

Haijian Si, Christoph Loch, and Stelios Kavadias (2023). A New Approach to Strategic Innovation: A tool for connecting your projects with your goals, Harvard Business Review, 101(5), 120-129.

メモ丨グラス社の焦点を絞る取り組み実例

1. グラス社の焦点を絞る取り組み

  • グラス社の光学機器部門(実名ではない)を研究。
  • 同社は、成長が3つの市場セグメント(望遠鏡・双眼鏡、製造用光センサー、セキュリティ光センサー)で最適ではない、と感じていた。戦略的な目標として年間25%の成長を目指す中、イノベーションの機会を特定するためのプロセスが開始された。

2. 現在の戦略的位置の理解

  • 戦略的位置を明確にするための質問を適用。
  • 強みと脆弱性(コストの不利、機能が古くなった製品、新製品の少なさ。3つのセグメントのうち2つでのサービスの弱さ、技術基盤の老化)を特定。

3. イノベーションバスケットの評価

  • 既存のイノベーションプロジェクトが評価の基準となるイノベーションの目標にどれだけ合致しているかを評価
  • 実は、$42 millionのイノベーション予算の約80%が新製品の開発に使われていたことが判明。

4. 新製品への過度な焦点の問題

  • 新製品への強い焦点が意図的ではなかったことをマネジメントチームが認識。
  • 短期の収益目標を達成するための製品の広がりが、かえって、競争的な位置を弱めていた

5. 戦略的目標の再設定

  • イノベーションバスケットと戦略的目標の変更の必要性を認識。3年間の戦略的変更の実施を求め、イノベーション目標への進捗を追跡する新しい指標を採用。

6. イノベーションバスケットの再構築

  • デザイン思考の原則に基づくワークショップを実施。
  • 参加者に戦略的位置を強化するための新しいアイデアを出してもらい、それを評価・精査。

7. 製品ラインの変更と新プロジェクトの導入

  • 製品ラインを4つから2つに減少。33のプロジェクトのうち13を中止。
  • 3つの新しいプロジェクトを開始。

8. 焦点を絞った結果の効果

  • 少ない数の高潜在製品への焦点を絞ることで、コスト削減のイノベーションの必要性が低下。全体のイノベーション予算が$42.2 millionから$34.1 millionに19%減少

9. イノベーションバスケットの主な価値

  • イノベーションバスケットの主な価値は、イノベーションをより効率的に管理することだけでなく、戦略の基本的な変更をもたらすことができることにある。

今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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