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『ステークホルダー資本主義』メモ (1/4)丨ハーバード・ビジネスレビュー最新号23年9−10月号

上記最新号のP108-119に掲載されています。

ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読んでおります。後日、講演や文献で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。『ステークホルダー資本主義』―私自身が解像度が低かった当該概念について、4類型があることまでしっかり把握しておらず、大変勉強になった論文でした。本当にハイレベルな概要にとどまりますが、お役に立てば幸いです。

なお、英語力に乏しく、自身の理解に限界があるため、必ず、ご自身で原典をご購読・ご精読いただけたら幸いです。

Lynn S. Paine (2023). What Does “Stakeholder Capitalism” Mean to You? – A guide to the four main types, Harvard Business Review, 101(5), 108-119.

メモ丨全体の構造

論文の全体構造

ステークホルダー資本主義の4つの類型

  • ステークホルダー資本主義は企業のみならず、社会全体の発展を志向する。近年のコーポレートガバナンスの動向として、単に株主重視のアプローチから多様なステークホルダーを含むアプローチへとシフトしている。
  • しかし、ステークホルダー資本主義の捉え方にはバリエーションが多く、それが混乱を招くこともある。
  • この論文はステークホルダー資本主義を4つの類型で紹介する。
メモ丨第1類型 Instrumental Stakeholderism

第1類型: Instrumental Stakeholderism

Instrumental Stakeholderismとは

  • この考え方は、全ステークホルダーの利益を配慮することで、結果として株主のリターンを最大化することを前提としている。
  • 非株主のステークホルダーとの関わり方は、株主価値に影響を及ぼすことがある。
  • 投資コミュニティにおいて、BlackRockやVanguard、State Street Global Advisorsといった大手アセットマネージャーの声明はこの考え方を体現している。
  • 株主価値の最大化を追求する企業経営者も、他のステークホルダーの利益を踏まえるべきである。

Instrumental Stakeholderismの問題点

  • Instrumental Stakeholderismは、ステークホルダーや社会に一定の利益を提供するものの、その範疇には限界が存在する。
  • 企業経営者は、長期的な株主価値を追求するうえでの戦略的機会を模索する必要がある。
  • しかしながら、他のステークホルダーの利益最大化と、長期的な株主価値最大化とが常に一致するわけではない。最終的に、長期的な株主価値を最大化するアクションは、困難な選択や他のステークホルダーへの悪影響を伴うことも考えられる。

今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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