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『ステークホルダー資本主義』メモ (3/4)丨ハーバード・ビジネスレビュー最新号23年9−10月号

上記最新号のP108-119に掲載されています。

ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読んでおります。後日、講演や文献で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。『ステークホルダー資本主義』―私自身が解像度が低かった当該概念について、4類型があることまでしっかり把握しておらず、大変勉強になった論文でした。本当にハイレベルな概要にとどまりますが、お役に立てば幸いです。本日は第3類型の部分です。

なお、英語力に乏しく、自身の理解に限界があるため、必ず、ご自身で原典をご購読・ご精読いただけたら幸いです。

Lynn S. Paine (2023). What Does “Stakeholder Capitalism” Mean to You? – A guide to the four main types, Harvard Business Review, 101(5), 108-119.

メモ丨第3類型: Beneficial Stakeholderism

第3類型 Beneficial Stakeholderism

Beneficial Stakeholderismとは何か

  1. 概要
    • ステークホルダリズムの新しいバージョンは、ステークホルダーの基本的な要求を満たすだけでなく、ステークホルダーの福祉を明確に向上させることを目指す。
    • 過去40年間の株主に対する還元は、多くの企業に他のステークホルダーへの投資不足をもたらしたという考えに基づく。
  2. B Corpsとの関連性:
    • Beneficial Stakeholderismは「B Corps」と似ている。
  3. Unileverの例:
    • 2009年から2019年のPaul Polmanの指導の下、Unileverは多くのステークホルダーに利益をもたらすアジェンダを追求した。
    • Unileverは従業員の健康と福祉を向上させ、給与体系を公平にし、800,000人以上の小規模事業者の生計を向上させるなど、多くの業績を上げてきた。
  4. Beneficial StakeholderismとClassic Stakeholderismの差異:
    • Beneficial Stakeholderismは、従業員の安全、平等な機会、等しい労働に対する等しい報酬などの基本的な法的および倫理的規範によって保護される利益を超えて、ステークホルダーの福祉を向上させることを求めている。

Beneficial Stakeholderismの課題

  • 企業のリーダーは、他のステークホルダーへの投資を増やすことで、株主のサポートを失うか、その信認義務に違反する恐れがあると言われている。例えば、アメリカのデラウェア州法によれば、他のステークホルダーへの投資は、企業の利益を推進する合理的な関係が必要。
  • Beneficial Stakeholderismは、企業がリソースを配置し、価値を配分する方法で、従来の株主価値の最大化からのより大きな転換を描いている。
  • しかし、他のステークホルダーの利益を推進する能力には制約がある。例えば、最近のPwCの調査によれば、取締役のわずか13%が、短期の財務業績に影響がある場合でも気候目標を優先すべきだと考えているに留まる

今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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