倉橋雄作弁護士『株主総会の新機軸』(商事法務、2025年)丨目次
倉橋雄作弁護士『株主総会の新機軸』(商事法務、2025年)をご恵贈いただきました


倉橋雄作弁護士『株主総会の新機軸』(商事法務、2025年)の特徴
ご恵贈頂いた倉橋先輩のご高著の特徴は、株主総会を形式的な儀式から「対話による価値創造の場」へと再定義し、その具体的な再設計論を提示している点です。弁護士である著者が、プレゼンの現代化、議事進行シナリオの合理化、テキストやウェブによる質問受付など、構造変化に対応した実務手法を詳説しています。経営の意思を真に伝え、説明責任を果たすための新しい総会運営の指針を示す一冊です。
以前 https://inhouselaw.org/inhouse/archives/5883 でご紹介したセミナーで私が肌で感じた先輩の最先端のお考えがぎゅっと詰まっています。
1. 深い制度解釈に基づく次の実務の提示
倉橋先輩の論文や座談会記事、さらに今回のセミナーを通じて確信したことは、教科書的な説明にとどまらず、制度趣旨に立ち返った上で新しい運用の可能性を明快に示してくださる点が、この上なく法務部門の担当者には嬉しいということです👏 株主総会の議事進行や取締役会の議題設定といった従来の慣行を問い直し、より合理的で投資家との対話にも資する運用へ導く提案力は、変革期に直面する企業にとって極めて頼もしいものです。
「他の会社でも伝統的にこうやってます」
「昨年も一昨年もこの方法だったので儀礼的に踏襲します」そのような担当者の思いを汲み取らない思考停止したようなアドバイスではなく、常に頭を動かして、担当者や現場の悩みを汲み取っていらっしゃるのではないかと拝察しています。
2. 緻密なリスクラインの見極め
次に、中村直人弁護士直伝ではないかと想像しておりますが、「裁判官がどこで線を引くか」を読む、経験に裏打ちされた「感覚の鋭さ」が際立ちます。ジュニアアソシエイト弁護士(当時の私)によくありがちな「決議取消事由となるリスクがある(終)」と警鐘を鳴らすのではなく、「訴訟になってもこの条文と裁判例、さらに、これこれの事実関係があれば十分に防御できる」と具体的に示されるため、経営陣も安心して判断ができるのだと思います。倉橋先輩は、中村直人先生を「お師匠さん」とお呼びになりますが、まさに剣術のように、リディゲーターとしての裁判所での経験が、実務でのプラクティカルなアドバイスに直結しているのだと、背中を見て、私はそう強く感じました。
3. 穏やかでオープンな対話姿勢
初めのご挨拶から穏やかなトーンで、「ここは私見ですが」と主観と客観を明確に区別して語られる姿勢が印象的でした。質疑応答では参加者の背景を丁寧にくみ取りながら、「そのご事情でしたら、このように整理できますね」と即座にカスタマイズ。立場や社風の異なる企業担当者も緊張が解け、率直に課題を共有していました。この対話力こそ、紹介案件やリピーターを生む大きな要因であると拝察いたしました。
ご恵贈いただき誠にありがとうございます📙🙏
ご関心がある方・勉強されたい方:詳しい情報はどうぞこちらをご参照ください。
御恵贈いただいた書籍に深く感謝いたします。私は組織内弁護士として専用の図書館や電子図書サービスを利用できない環境にあり、弁護士会合同図書館が調査の要となっています。購入済みの書籍と重複した場合、または、検索して合同図書館にまだ(新刊のため)所蔵がない場合は、同じ環境にいる組織内弁護士の方々にも役立てていただけるよう、図書館の予算も潤沢ではないと耳にしており、都度、寄贈を検討しています。貴重な参考資料を共有財産として活用することで、学びの途上にある自分自身を含め、より多くの実務家の調査に資することができれば幸いです。ご了承いただけますと幸いです。
引き続きご指導ご鞭撻をどうぞよろしくおねがいします。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。







いつも大変お世話になっております。敬愛する東京大学ロースクールの先輩+企業法務の最高峰の実務家の1人である(中村直人先生を師・系譜とする)倉橋雄作先生から、新刊の『株主総会の新機軸』(商事法務、2025年)をご恵贈をいただきましたので謹んで紹介させてください。