法務・弁護士、口を閉じよ?―政治的激動期を生き抜く「戦略的冬眠」の示唆[3/3]丨HBR2025年11-12月号の掲載論文

火曜日・金曜日は集まれ! #法務のみんなで一緒に前進

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨

「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

政治的激動期を生き抜く戦略的冬眠丨一緒に学ぶ論文はこちら

Christopher Marquis (2025). Is This a Moment for Strategic Hibernation?: A new model for business resilience in a politically turbulent era, Harvard Business Review, 103(5), 62-71.

政治的激動期を生き抜く戦略的冬眠丨全体像丨わかりやすくまとめてみる

<わかりやすくまとめてみる>
今回は、かわぐちかいじ氏の漫画『沈黙の艦隊(音声にご注意ください)』(最近ドラマ化された⋯)から、海江田艦長がゲスト出演してくれています。では、艦長お願いします(マイクをお渡しする🎙️)。

* * *

⚓️ 独立国「やまと」元首・艦長の海江田だ。総員に告ぐ。我々が潜る海は「戦略的冬眠」にある。世界はいま、政治と規制という嵐の中にある。だが狼狽するな。我々「やまと」がとるべき航路は、嵐に逆らうことでも、港へ逃げ帰ることでもない。深く潜り、時を待つ「戦略的潜水艦」となることだ。

本艦は、このHBR論文が示す航海図(チャート)に従い、以下の3つの戦術を実行する。

☢️ 原子炉(エンジン)を止めるな、ただ深く潜れ 嵐(禁酒法や不条理な規制)が来た時、愚かな船は逃げ出し、あるいは沈む。だが我々は違う。事業の表層を変えてでも(工場を別用途に転用してでも)、組織の「中核能力」という原子炉は稼働させ続けるのだ。潜航中も牙を研ぎ澄まし、能力を温存した者だけが、嵐が去った後の海を支配できる。

📡 ソナーを研ぎ澄まし、「浮上」の時を計れ 冬眠とは、単なる休息ではない。暗い海中で「政治的リスク分析」というソナーを極限まで鋭敏にせよ。時代の潮目が変わる音(規制緩和の予兆)を誰よりも早く探知するのだ。他国がまだ混乱している隙に、計算し尽くされたタイミングで急速浮上し、一気に実権を握る。それが我々の勝利の方程式だ。

🤫 静粛に航行し、海の色に「擬態」せよ 海上が荒れている時、派手な旗(主張)を掲げるのは無能のすることだ。理想は胸の内に秘めよ。外見は周囲の潮流に合わせて「カモフラージュ(擬態)」し、敵(権力や批判)のレーダーから姿を消すのだ。生き残り、目的を果たすためには、「静かなる潜航(サイレント・ランニング)」こそが最強の武器となる。

以上だ。各員、衝撃(冬の時代)に備えよ。

* * *

特別ゲストの海江田艦長、ありがとうございました。そして、モーニングを読んでいなかった皆様、世代が異なる皆様、わかりにくい例えで申し訳ありません。

全3回の論文の内容を、ここにいる法務部門の我々みんなで、順番に抑えていきましょう。

政治的激動期を生き抜く戦略的冬眠丨個別丨本日のポイント

規律ある「可視性」の管理とカモフラージュ戦略

政治的に不安定な環境下では、外部への露出(可視性)を厳格に管理することが生存を左右する。企業は、自らの価値観を維持しながらも、対外的には権力構造や社会的潮流に同調しているように見せる「規律」が求められる

本論文によれば、中国の習近平体制下におけるハイテク企業の対照的な運命はその教訓である。

  • Alibabaのジャック・マーは欧米流の破壊的変革を主張して公の場から姿を消し、株価はピーク時から6000億ドル以上下落した
  • 一方、Tencentは「共同富裕」などの国家方針に寄り添い、目立たない姿勢を貫いたことで、過去3年間の株価は年平均15%以上のリターンを維持している。

同様の現象は米国のESGやDEI(多様性・公平性・包摂性)分野でも見られる。

S&P 500企業のサステナビリティ報告に関するプレスリリースは、2021年の75%から2024年には49%へと急減した。しかし、MicrosoftやGoogleは脱炭素への投資を継続しており、多くの企業はDEIの取り組みを「帰属意識(Belonging)」や「文化的適格性」といった言葉に言い換えて継続している

本論文によれば、これを「グリーンハッシング(環境活動の隠蔽)」によるミッションの漂流で終わらせず、イデオロギー的な逆風が収まるまで本質的な活動を水面下で進めることこそが、賢明なリーダーの選択である。

政治的激動期を生き抜く戦略的冬眠丨30秒考えてみよう。

  • 📝 皆さんはどう思われますか?
  • 🏢 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
  • ✉️ この論文をシェアしたら喜びそうな事業部の方はいらっしゃいますか?(オンライン版は月1〜2本の記事無料で読める場合があるので、事業部の方にシェアしてみてはいかがでしょうか?―感謝されるかもしれません🤝)

HBRの定期購読のおすすめ

毎号、自宅のポストに届くのを心待ちにしています、下記は最新号の表紙です。ビジュアルも大変美しいです。 I strongly recommend/encourage your subscription to the esteemed HBR. It’s truly meaningful.

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
ハーバード・ビジネス・レビューを読もう丨法務のみんなで一緒に前進

もうちょっと勉強したい人へ丨関連記事

ハーバード・ビジネス・レビューを読もう丨法務のみんなで一緒に前進
ハーバード・ビジネス・レビューを読もう丨法務のみんなで一緒に前進

***

ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。