
書誌情報
渡部友一郎「隣のプロフェッショナル (4):小林咲花 弁護士」月刊登記情報65巻4号(2025年)72-76頁
法務部員・組織内弁護士向けのまとめ
本稿では、東京大学法科大学院同期の小林咲花弁護士が西村あさひ法律事務所でパートナーになるまでの軌跡を辿ります。インターン経験、KDDI出向と米国留学で磨いたM&A実務、クライアントとチームを動かす想像力の鍛え方を掘り下げ、筆者自身も学びを深めつつ、若手法曹やビジネスパーソンの長期的成長に役立つ示唆をまとめました。
法務部員・組織内弁護士のNext Step
想像力を高め、相手の「次の一手」を読む 小林先生は、論点を調べる際も「この情報は全体像でどう効くか」を想像する重要性を強調します。今日からメールや議事録を読み返し、相手の状況や期待を思い描きながら先回りの提案を一つ加えてみましょう。小さな先読みを積み重ねるほど、信頼と成果は連動して伸びます。
立場を越えたフラットな対話を日常化する インターン時代、最高裁判事となる先輩から「君はどう思う?」と問われた経験が、小林先生の成長を加速させました。会議やレビューで自分より経験の浅い人にも意見を求め、率直に考えを交わす場を意識的につくりましょう。上下の垣根が低くなるほど、多面的な視点が集まり、判断の質が向上します。
経験の射程を世界へ広げ、学びを循環させる 社外出向や海外留学で得た異文化の常識への気付きが、同氏のM&A実務を強化しました。まずは英文契約書を読んでみる、外国企業の事例を調べるなど身近な一歩から始め、得た知見を同僚と共有しましょう。視野を広げ知識を循環させることで、複雑化する国際ビジネスに対応できる地力が養われます。
おわりに
第4回は、東京大学ロースクールで同じクラスだった小林咲花先生にインタビューしました。学生時代から利害関係のない立場で接し、実行力と周囲への配慮に敬意を抱いていましたが、キャリア観を深く語り合う機会は多くありませんでした。今回はプロフェッショナル同士として1歩距離を置き、小林先生が大切にされている考え方を学ぶ時間となりました。学びの途上にある私にとっても、社内でクライアントの思いを捉える手がかりを得る貴重な経験でした。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
司法書士業向け専門誌「月刊登記情報」(金融財政事情研究会)にて、連載「隣のプロフェッショナル」を担当させていただくことになりました。まだまだ組織内弁護士や法務部員として研鑽中の身ではありますが、法律業界の各分野で活躍されている方々にお話を伺い、その学びや視点を読者の皆さまと共有できればと考えております。キャリアや日々の業務に小さな気づきやヒントを得ていただけるよう努めてまいります。