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D&I丨弁護士の男女差の研究[3/4]丨中村真由美「弁護士収入のジェンダー差はどこから生まれるのか?一子育て・地位・取扱分野に注目してー」自由と正義75巻12号(2024)27-38頁 ―以降土曜掲載―

◯✕ 問題<正解は末尾>
問題1
次の文は正しいか?― 男性弁護士と女性弁護士で収入格差が生まれる主要な時期は40代前半である、と本文は述べている。


問題2
次の文は正しいか?― 子どもの有無を考慮した場合、女性であること自体が無条件に収入を下げる大きな要因になるとは限らない、と本文は分析している。


問題3
次の文は正しいか?― 男性は企業法務寄りの分野を扱う傾向が強く、女性は個人や社会的弱者を対象とする分野を扱う傾向があると書かれている。


問題4
次の文は正しいか?― 収入格差は30代以降に小さくなる傾向があるため、事務所規模や地位による差はあまり重要ではないと結論づけられている。

日弁連の機関誌『自由と正義』に掲載された先生方の論文に準拠して、私達弁護士を取り巻く「男女差」について、データを踏まえて、説明できるようにする合計4回(土曜日掲載)の企画となります。D&Iについてお話する機会があれば、記載されているデータは引用できるようにしておきたいと思います。

中村真由美「弁護士収入のジェンダー差はどこから生まれるのか?一子育て・地位・取扱分野に注目してー」自由と正義75巻12号(2024)27-38頁

1つ知見を広げる「本日のメモ」

私が個人的に興味を惹かれた先生の御指摘のポイントは、下記のとおりです。謹んで引用いたします。

  1. 弁護士の収入には年代差がある。さらに、収入の高い年齢層では男性の比率が高いため、弁護士全体としてジェンダー差が生じている。
  2. 年代や子どもの有無などの条件を考慮すると、「女性であること自体」が収入に影響しているわけではないしかし、子どもを持つ弁護士では、女性の収入が男性より低くなる傾向がある。
  3. 子どもを持つ弁護士男女間の収入格差は、取扱分野・地位・事務所規模の違いにより説明できる。
  4. 収入の男女差は30代以降に顕著となる。20代後半までは地位や事務所規模に男女差はほぼないが、30代以降は男性が一人事務所の経営者弁護士になりやすく、女性は小規模事務所の勤務弁護士になりやすい
  5. 分野ごとの取扱頻度にも男女差があり、収入が高い分野は男性の取り扱いが多い(ただし「国際取引」「独占禁止・不正競争」は例外)。男性は企業法務寄り女性は個人(特に社会的弱者)向け分野を扱う傾向が見られる。

ご関心があるかたはぜひ原文をご高覧ください。

自由と正義はお買い求めいただけます。日弁連の公式サイトはこちらです。
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/publication/subscription.html

<本日の答え合わせ>
問題1
次の文は正しいか?― 男性弁護士と女性弁護士で収入格差が生まれる主要な時期は40代前半である、と本文は述べている。

答え:✕
解説:本文では「収入の男女差は30代以降に顕著になる」と述べられており、40代前半ではない。

問題2
次の文は正しいか?― 子どもの有無を考慮した場合、女性であること自体が無条件に収入を下げる大きな要因になるとは限らない、と本文は分析している。

答え:◯
解説:本文では「子どもを持つ弁護士の場合は女性の収入が男性より低くなる傾向があるが、『女性であること自体』が全ての原因ではない」と分析されている。

問題3
次の文は正しいか?― 男性は企業法務寄りの分野を扱う傾向が強く、女性は個人や社会的弱者を対象とする分野を扱う傾向があると書かれている。

答え:◯
解説:本文中に「男性は企業法務寄り、女性は個人(特に社会的弱者)向け分野が多い」と述べられている。

問題4
次の文は正しいか?― 収入格差は30代以降に小さくなる傾向があるため、事務所規模や地位による差はあまり重要ではないと結論づけられている。

答え:✕
解説:本文ではむしろ「30代以降に男女差が顕著化し、事務所規模や地位の違いが収入に影響する」と述べられている。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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