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年末年始ノート(4)丨Airbnb x N&A様との「法律事務所におけるダイバーシティ」の取組み ―2024年から2025年へ

読者の皆さま、2024年も大変お世話になりました。2025年もご指導ご鞭撻をどうぞよろしくお願いします。2024年の多忙を理由にタイムリーに皆様にシェアできなかった内容を1つ1つ短くお届けしてまいります。皆様の2025年のアイデアやお取り組みのお役に立てば幸いです。

元旦には、新しい報告をさせていただきました。さて、第4回目の今日は、2024年ご報告できていなかった「Law Firm Diversity」というAirbnb APAC Legal Teamでの私の「ダイバーシティ(D&I)推進」の新しい取り組みについて共有させてください。昨年参加させていただいたイベントの中で、特に考えさせられる機会となったN&A様(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業様)でのD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)イベントについてご紹介いたします。

なお、本稿は他の投稿同様に個人の見解でAirbnbの見解ではありません。

お写真はLinkedInに同じ。また、掲載についてはN&A DE&I委員会様と相談した上でご紹介しております。

西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 様 所内DE&Iイベント:ゲストスピーカー登壇(2024年)

外資系クライアントが求める「多様性」の意味

昨今、「ダイバーシティ(D&I)」という言葉は、多くの企業や団体で取り上げられています。

ここで「法律事務所とクライアント」という関係において考えた場合、外資系のクライアントにとって、多様性は単なる理念ではなく、提供するリーガルサービスの質を直接的に高める重要な要素と考えられている場合があります。

N&A DE&I委員会様とAirbnb(Law Firm Diversityの担当である私)とは、2023年冬から取り組みについて様々な相談を進め、今回、Airbnbの副・最高法務責任者(私の上長でありアジア太平洋地域の法務のトップである)Darrell Chan氏もビデオメッセージを寄せました。

「D&Iは法律事務所の見た目を良くするための取り組みではなく、実際のプロダクトやサービス、すなわち法律事務所が提供するアドバイスの効果そのものを高める要素である」

という点は、私がAirbnbに入って学んだことでした。

外資系クライアントがD&Iを重視する背景には、多様な視点や経験を持つチームが、包括的かつ実効性の高いリーガルアドバイスを生み出せるという考え方が根底にあります。

これは、グローバルな法務環境では特に重要視される考え方であり、競争力を高めるための鍵となっていると感じています。

イベントの趣旨と内容

今回のイベントは、AirbnbのAPACリーガルチームとN&A様のDE&Iチームが力をあわせて企画・実施したもので、1年間の協議開始からの準備期間を経て実現しました。N&A様の弁護士やスタッフの方々が積極的に参加され、DE&Iと法律業務の結びつきについて活発な議論が行われました。

私自身も、ファイヤーサイド形式の質疑応答で以下のようなテーマについてお話しする機会をいただきました:

  • D&Iが法律業務に与える影響:多様性が法的アドバイスの質や有効性をどのように向上させるか。
  • 具体例から学ぶ:Airbnbが導入している「アウトサイドカウンセルポリシー」や、チームの多様性を活用する具体的な方法。
  • D&Iの考え方を共有する意義:外資系クライアントがD&Iを求める理由を理解し、顧客のニーズに応えるアプローチ。

これらの議論を通じて、多様性が単なる理念を超え、法律業務に具体的な価値をもたらす重要な要素であることを改めて実感しました。

車の外装ではなく「エンジン」の話なんど

私は脆弱性として、自分の以前の非見識を率直に共有した上で、このようにD&Iを例えました。Airbnbに入っていなければ、ずっとこの問題がエンジンの話なんだと言うことに気がつかなかった可能性があります。

D&Iの取り組みは、特定の文化や業界だけに留まるものではありません。多様性を取り入れた法務業務は、競争力を高めるとともに、顧客満足度の向上にも寄与します。グローバル化が進む中で、D&Iを実務にどう結びつけるかという視点は、日本の法務環境においても今後ますます重要になると考えています。

最後に

D&Iの議論は、理念だけでなく実務的な価値を生み出す鍵となるものです。このイベントに携わってくださったすべての皆様、特にN&A様の弁護士やスタッフの方々に、心より感謝申し上げます。2025年も、こうした議論を通じて、新たなアイデアや取り組みを皆様と共有できるよう努めてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

私がもし、貴法律事務所のD&Iのお取り組みについて、お役に立てることがあれば(Airbnbとは契約関係にはまだない)すべての法律事務所様や先生のお願いにお答えすることはもしかしたら難しいかもしれませんが、出来る範囲で、Happy to helpですのでいつでもお知らせ下さい。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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