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謹賀新年丨5年ほど秘密にしていた直近の夢など(組織内弁護士研究ノート/2026の元旦投稿) [TOP固定記事#2]

謹賀新年丨渡部友一郎丨組織内弁護士研究ノート
あけましておめでとうございます

(本記事は、12月31日の24時ちょうどに公開しております。明朝も通常通り4時に起床し、学びの時間を確保するため、皆様がお読みになる頃、私は一足先に休ませていただいているかと思います。夢の中からのご挨拶となることをお許しください。)

はじめに丨誠にありがとうございました🙏

謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、本年も変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願いします。

さて、おかげさまで、Airbnbでの旅路も10年という節目を迎えることができました。

決して平坦な道のりではありませんでしたが、皆様に支えられ、導いていただいたおかげで、今日という日を迎えることができております。

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謹賀新年丨渡部友一郎丨組織内弁護士研究ノート

上記の2023年、2024年の元旦記事を振り返ると、色々あったなと懐かしくなります。

冒頭のご報告(母校・東京大学法科大学院に関する報告)

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
橋爪隆東京大学法学政治学研究科長とともに(12月吉日撮影)学内での撮影及び本記事の掲載には、事前のご了解をいただいております。

はじめに、大晦日の早朝にお伝えしました通り、皆様から頂いた温かいお力添えを、2022年に続き、母校の「ローレビュー」へと繋ぐことができました。詳細につきましては、もしお心に留まるようでしたら、下記記事をご高覧いただければ幸いです。

東京大学法科大学院へ丨吾唯足知(ワレタダタルヲシル)。皆様の想いを乗せた500万円を、再び、学生たちの未来へ。「学恩返し」という善意の循環
🔗 https://inhouselaw.org/inhouse/archives/6796 

そして、次は、毎年恒例の自己採点です。今年は⋯

2025-2026年丨組織内弁護士としての自己点検

(1) 夢ノートと10年計画

2014年2月28日、私は「30代の10年計画」(第1版)というメモに、当時の自分には分不相応とも思える大きな夢を書き記しました。それからというもの、毎朝・毎晩その計画の言葉を噛み締め、何度も書き直しながら、ただひたすらに目の前の道を歩んでまいりました。

すると不思議なことに、決して手が届かないと思っていた景色が、いつしか現実のものとして、私の目の前に現れてくれました。(このあたりの経緯につきましては、拙著『成長を叶える組織内弁護士』(日本加除出版、2025年)21-25頁をご参照ください)。

(2) 2025年は「65〜73点」

『注意深く、欺瞞なく、本物の努力を続けること』が365日実践できた自信も実績もないが、Executive Summaryです。

まだまだ道半ばの目標が山ほどあります。 この一年を振り返り、セルフコンパッションの視点で「よくやった」と自分を慈しみつつも、冷静に自己採点をすれば(365日つけている手帳や振り返りを勘案すると)、正直なところ「65〜73点」といったところでしょうか。

決して謙遜ではなく、今の自分の実態と自分がこのような「欺瞞のない真摯な努力を続けたい」という思いとの距離を測ると、そう感じざるを得ません。

(3) (何もやっていないのに)夢を語ると夢が遠のく説

優・良・可でいえば、可〜良のあたりですが、2025年は、過去5年間⋯内側に秘めていた目標(夢)を自分なりに口に出してみたいと思います。

ご存知の通り、私は生来の意志力が乏しい流されやすく弱い人間です。夢を外に向かって口にした瞬間に「達成した」ような錯覚に陥ります。これに気がついて以来、30代から、夢は、工程図ができて、真摯な努力が積み重なってもう一歩(山頂が遠くに見え始めてようやく)という時点まで「人に語るな」と戒めています。夢を語っているとまだ1mmも努力していない(5合目以下や下手したら登山口に居る)のに「偉い人間」になったような勘違いをするのが自分だからです。

―「夢を語る相応の努力をした後に慎重に語れ」

そう自分に言い聞かせています(なお、考え方は多種多様で、もともと夢を語っていたのもその方が自分にプレッシャーがかかるからという説があったからなのですが、自分には最適解ではありませんでした)。

5年ほど秘密にしていた夢💬―2026年は、組織内弁護士として◯◯を目指したい

では、少し未来の話を緊張しつつ決意を持ってお話しさせてください。

2026年以降は、本格的に、組織内弁護士として◯◯を目指したい、というお話です。

はじめに前提からお話します。

Airbnbの法務組織には、General Counsel(最高法務責任者)を頂点とするグローバルで統一された職能・職位の階段があります。2番目にDeputy General Counsel、3番目にAssociate General Counsel、4番目にLead Counsel、5番目にSenior Counsel、6番目にLegal Counselといった具合です。

この前提からスタートしたうえで、次の4つをお伝えします。

  1. 私は、2015年に6番目のLegal Counselとして採用され、その後、Senior Counselを拝命。2020年には、4番目の「Lead Counsel」を拝命しましたが、現在、そこからさらに一つ上の「Associate General Counsel」という役割を、2026年本日から向こう3年以内の目標に定めています(またこの5年間、これを目標に静かに日々精進してきました)。
  2. 実のところ、現在の職位「Lead Counsel」と、その上の「Associate General Counsel」の間には、高く険しい「崖」が存在します。 社内外のシニアリーダーたちの話を総合すれば、この役割は、フォーチュン500企業におけるグローバル基準の「Director(本部長・局長級)」に相当する職能レベルと言われています。
  3. もちろん、私が求めているのは、名刺に刻まれる「肩書き」ではありません。 私が心から尊敬する世界中の同僚・先輩が「Associate General Counsel」という視座から提供しているサービスの質、量、そして守備範囲の広さ。その圧倒的な実力に、純粋に憧れを抱いているのです。
  4. 単なる日本法人や地域単位の名称としてではなく、世界共通の「物差し」で測っても通用する実力(Global Director level)を身につけること。 そして、その技量を手に入れることで、チームや日本の事業部門、さらに、社外での組織内弁護士や法務部門のコミュニティに対して、より質の高い還元ができるようになりたい⋯それが、今の私の偽らざる本音です。

そこに、その奥の奥の扉を明けて、もしその高みに到達できたとき…今とは異なる風景が見えてくると思うのです。

そのような夢が叶うには、まだまだ課題があります。365日『注意深く、欺瞞なく、本物の努力を続けること』を続けることができれば、いつか叶う日がくるかもしれません(し、叶わないかもしれません―これは組織・チーム全体の話であり、個人ではコントロールできない事柄なのです)。

私がコントロールできることは、精神と肉体を日々高め整え、日々の仕事で「最高のアドバイス(法律に限らない)」を提供することだけです。「欺瞞のない真摯な努力」これが本当に難しい⋯見せかけでなく、自分が納得した努力を出し尽くしたか⋯これだけが当面のチェック基準です。

自省丨2025年トップ3

最後に、既に元旦のこの時点では感謝し、じわーと味わいつつも、既に手放している事項ですが、2025年の自分の中で思い出に残っているものを3つお話させてください。守秘義務との関係から、Airbnbの具体的なお仕事の話はこのBlogでは触れないよう留意しており、お仕事「外」の話となっております。

第1位 40代までの集大成『成長を叶える組織内弁護士の教科書』

組織内弁護士の教科書
(写真:日本経済新聞掲載の紙面/深謝)

この一冊は、私の40代までの経験と、拙いながらも重ねてきた思考の全てを注ぎ込み、祈るような気持ちで執筆いたしました。 日本経済新聞という晴れやかな場に掲載の機会をいただけたこと、望外の喜びであり、心より感謝申し上げます。

敬愛する中村直人先生からは、「真実をつく明確な言葉。誠実で聡明な珠玉のノウハウ」という、身に余る評を賜りました。 先生からの「渡部さん、良い本をお書きになりましたね」という温かいお言葉は、本書に記した過去の葛藤や苦しかった体験が、ようやく意味を持ち、報われたように感じた瞬間でした。

組織成長を叶える 組織内弁護士の教科書丨迷うたび、読んでほしい

素晴らしい伴走をしてくださった日本加除出版のチームの皆様、そして漫画を通じて命を吹き込んでくださった星井先生、大舞先生に、深く御礼申し上げます。

第2位 4大陸を巡る「世界一周」の旅―サバティカル休暇での気づき

Airbnb勤続10年の節目に頂いた4週間のサバティカル休暇。

世界一周丨組織内弁護士研究ノート

私はかつて自分に問いかけた「もし余命1ヶ月なら?」という思考実験を実行に移し、世界一周航空券を手に旅立ちました。 ポルトガルからトルコまで、歴史と文化が交差する地を巡り、AIという新たな伴走者と共に歩いた記録です。これは単なる旅行記ではなく、キャリアの踊り場にいる一人の実務家が、日常から離れ、自分自身のOSを静かに再起動(リブート)させた、内省と再生の旅の時間でした。

第3位 未来への種まき―日本組織内弁護士協会(JILA)にて「次世代サポート委員会」の始動

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チームのコンセプトとミッションをゼロから作成
次世代サポート委員会(JILA) https://jila.jp/nextgen/

第3位は、これからの法務界を担う方々のための新たな土壌づくり、「次世代サポート委員会」の始動です。

現在、私たちの日本組織内弁護士協会(JILA/ジャイラ)の会員構成を見渡すと、登録1年目から13年目までの若手・中堅層が全体の70%以上を占めるまでに変化しています。 この数字は、組織内弁護士という生き方が特別なものではなく、当たり前の選択肢になったことの証左でもあります。

そうした変化の中で、組織として「今、皆様に何を提供できるのか」「どうあるべきか」。 この問いには既存の正解がありません。だからこそ、仲間たちと来る日も来る日も議論を重ね、試行錯誤しながら向き合い続けた一年でした。

その結実として生まれたこの委員会は、まだ小さな一歩に過ぎません。 しかし、ここで蒔いた種が、やがて皆様のキャリアにおける「安心」や「飛躍」という芽となり、花開くことを信じています。2026年も、この場所から新しい価値や繋がりが生まれるよう、丁寧に土壌を耕してまいりたいと思います。 活動の詳細や想いについては、ぜひ下記ページをご覧いただければ幸いです。

▼次世代サポート委員会(JILA) https://jila.jp/nextgen/

おわりに ― 吾唯足知

龍安寺丨組織内弁護士の教科書
2025年冬、龍安寺(渡部撮影)

京都・龍安寺のつくばいに刻まれた「吾唯足知(われただたるをしる)」。 この言葉は、決して現状に満足して歩みを止めることではなく、今の自分が「多くの支えによって生かされている」という充足感を知ることに他なりません。

2025年に頂いた多くの果実やご恩を、私の手の中に留めることなく、2026年も社会や次の世代へと還(かえ)していく。その「善意の循環」の一端を担えるよう、一歩ずつ、丁寧に歩みを進めてまいります。

新しい年が、皆様にとって希望の光に満ちた一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。 本年も、変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。