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【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第3回―なぜ弁護士はイノベーターの”マインドセット+スキルセット+行動様式”を磨くべきなのか?(その3)

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第3回―なぜ弁護士はイノベーターの"マインドセット+スキルセット+行動様式"を磨くべきなのか?(その3)

◯✕ 問題<正解は末尾>
問1 次の文は正しいか?― (教授の提唱する後述の)「Lawyer Skills Delta」では法律専門知識がレベル1として位置づけられている。


問2 次の文は正しいか?― クライアントは自社の将来リスクを見通すため、法律事務所が他業界専門家とも協働して洞察を提供することを期待している。

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毎週日曜の朝に更新し、日本では未翻訳の名著に光を当てます。

著者ミシェル・デステファノ氏マイアミ大学ロースクール教授であり、ハーバード・ロースクールのエグゼクティブ教育プログラムでも教鞭を執る法律教育者です。米国法曹協会からLegal Rebelに選出され、フィナンシャル・タイムズでも「最も革新的な弁護士」トップ20の一人と評価されています。

現在、Airbnbのグローバル法務で各国のリーガルテックに触れる中で、本書のポイントを自分なり取捨選択して謹んで共有したいと考えました。学びの途上として整理した私なりのメモを、毎週日曜朝に全12回でお届けします。

本連載を最後までお読みいただければ、法律事務所でも企業でも「新しい時代の法律家」に求められる視点をデスゲファノ教授から学べると思います。本書から共に学ぶ時間を、私自身も楽しみにしています

Michele DeStefano, Legal Upheaval: A Guide to Creativity, Collaboration, and Innovation in Law (Ankerwycke 2018). [Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

弁護士スキルのギャップ

デスゲファノ教授は、従来の法律知識だけでは顧客の期待を満たせないという現状を「Lawyer Skills Delta(スキル格差)」で可視化します(図は原著をご高覧ください)。レベル1のC.O.S.Tスキル(プロジェクト管理やテクノロジー活用など)、レベル2の協働型クリエイティブ問題解決力、レベル3のイノベーション能力を段階的に習得しなければ、弁護士は「安い・速い・高付加価値」を求める顧客の要求に応えられないと、論理的に説明を加えていきます。

デスゲファノ教授は、クライアントは長文の法的見解より「実行可能な要約と継続的価値」を重視し、協働姿勢と業界理解を欠く法律事務所はクライアントの(法律事務所の依頼先)選択肢から外れる、と警告します。

<本日の答え合わせ>
◯✕ 問題


問1 次の文は正しいか?― 「Lawyer Skills Delta」では法律専門知識がレベル1として位置づけられている。
答 ✕

理由 図では法律専門知識はピラミッドの土台であり、レベル1はC.O.S.T(Concrete, Organizational, Service, Tech)スキルであると説明されているため誤りです。

問2 次の文は正しいか?― クライアントは自社の将来リスクを見通すため、法律事務所が他業界専門家とも協働して洞察を提供することを期待している。
答 ◯

理由 本文でRoyal Dutch Shellの法務責任者が、業界横断のトレンドをもたらす外部専門家との連携を法律事務所に求めていると述べられているため正しいです。

お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。

原著購入の推薦 最後に、本書は「AI時代」到来前の2018年に刊行されながら、リーガルオペレーションや「テック×法務」を先取りし、リーガルテック導入時に直面する障壁を分かりやすく説明しており、非常に学ぶ価値の高い書籍であると考えています。もし研究・実務などでご関心があれば、右のURLからぜひご購入をご検討ください。[Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。