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組織内弁護士が予め学んでおきたい「市場調査を塗り替える生成AI」最新動向[1/3]丨HBR2025年5-6月号の掲載論文

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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

一緒に学ぶ論文はこちら

Jeremy Korst, Stefano Puntoni and Olivier Toubia (2025). How Gen AI Is Transforming Market Research – A guide to the most promising opportunities, Harvard Business Review, 103(3), 90-99.

全体像丨わかりやすくまとめてみる

<わかりやすくまとめてみる> 本論文の論点は多岐にわたりますが、あえて例えるのであれば、「新作メニューを考えるレストラン 🍽️」の事例に置き換えると理解しやすいかもしれません。従来、シェフは客一人ひとりに試食してもらい、感想を集めて味を調整してきました(従来の市場調査)。しかし、生成AIは、客の好みを学習した「分身」を大量かつ短時間で作り出し、その分身たちに一斉に試食させてフィードバックを得る調理支援マシンの役割を果たします
第1の論点では、このマシンがシェフの仕事(インタビュー要約・データ分析・レポート作成)を高速化し、全体の約9割の店舗が導入を検討していることが示されています。
第2の論点では、分身(シンセティックデータ)の味覚が本物の客と95%一致した実験結果が紹介され、試食会そのものを置き換えられる可能性が示唆されています。ただし、微妙な配合のズレが起こる場合もあるため、実際の客による最終確認は必須です。
第3の論点では、厨房横に常駐する「デジタル常連客」—つまり客のデジタルツイン—に新メニューを随時試してもらう発想が紹介されています。42%超の店舗がすでに試行中ですが、価格設定など複雑な要素ではAIが誤解するリスクもあるため、人間の舌との併用が安全策だと指摘されています。
このように、本論文では、生成AIは「速い・安い・大量」に試食データを集める夢の機械ですが、香りや後味のような繊細なポイントではリアルな客の最終チェックが欠かせないと説いています。多分。

個別丨本日のポイント

はじめに、本論文は、生成AIが既存プロセスを高速化していることを紹介しています。

  1. GBK Collective が 2025 年 2 月に実施した調査(回答者 171 名)では、生成 AI を「現在利用中」が 45 %、「導入予定」も 45 %となり、導入率は 90 %に達する見通し。
  2. 活用中の具体的タスクは「長文インタビュー要約」62 %、「データ分析」58 %、「レポート執筆」54 %が上位を占める。一方、70 %超が「バイアス・不正確性」「プライバシー」「統合コスト」を懸念し、同程度が「スキルギャップ」や「職務代替」も不安視。
  3. しかし、なお 81 %が「生産性向上と競争力維持の鍵」と肯定的。
  4. 筆者の研究によれば、実践例として WeightWatchers は Outset.ai の AI モデレーターを導入し、人間面接よりも回答者が率直になる効果を確認した。本論文は、これらの知見は、合成(文献要約)、コーディング(データマイニング)、対話(ブレインストーミング)、執筆(要点整理)の 4 機能を 3 工程〈設計・収集/分析・報告〉にマッピングしたフレームワークとも整合し、生成 AI が「速さ・低コスト・スケール化」の 3 条件を同時に満たすことを裏づけていると説明する。

30秒考えてみよう。

  • 皆さんはどう思われますか?
  • 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
  • この論文をシェアしたら喜びそうな事業部の方はいらっしゃいますか?(Web版は月1−2記事無料で読めるので、探してシェアしてみてはいかがでしょうか?)

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。