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2024年の最も心に残ったAirbnb法務の教え(3/3)丨リーガルリスクマネジメントの教科書丨メモしておきたい言葉だち

第3回(完):成長マインドセットと失敗から学ぶ文化の推進

1. はじめに

改めて、2025年もご指導ご鞭撻をどうぞよろしくお願いします(こちらの記事は、9月末に執筆して準備しております、雑誌と同様に、早めに準備をしています)。

現代のビジネス環境において、変化に迅速に適応し、継続的に学び続けることが求められています。特に法務部門や管理職にとって、成長マインドセットを持つことは、チームのパフォーマンスを最大化し、クライアントに価値を提供するための重要な要素です。

今回は、成長マインドセットと失敗から学ぶ文化をどのように推進し、組織全体で学びを共有するかについて、私の上司から学んだ考え方を交えてお伝えします。

2. 成長マインドセットとは何か?

成長マインドセット(Growth Mindset)は、心理学者キャロル・ドゥエック博士によって提唱された概念であり、「能力や知識は努力と経験によって向上できる」という信念に基づく考え方です。

これに対して、固定マインドセット(Fixed Mindset)は、「能力や知識は生まれ持ったもので変わらない」という見方を指します。法務部門の管理職として、私たちは自分自身と部下に成長マインドセットを根付かせ、挑戦と学びの機会を積極的に提供することが重要です。

3. 失敗から学ぶ文化の重要性

成長マインドセットを育むためには、失敗を恐れずに挑戦できる環境を作ることが不可欠です。特に法務部門では、失敗が法的リスクやコンプライアンス違反に繋がる恐れがあるため、失敗を避ける傾向が強くなりがちです。

しかし、失敗を恐れて挑戦を避けることは、学びの機会を喪失することにも繋がります。

私の上司は、失敗を次のように捉えています。「失敗とは、成功の反対ではなく、成功へのプロセスである。」つまり、失敗から何を学び、次にどう活かすかが重要であり、これが成長マインドセットの核となる考え方です。

4. 成長マインドセットを育むための実践方法

法務部門や管理職が成長マインドセットを育むためには、次のような具体的なアプローチが有効です。

  1. 挑戦の機会を提供する: 部下に対して新しいプロジェクトや困難な課題を与え、挑戦させることが成長の第一歩です。特に、経験が浅い部下には段階的に難易度を上げることで、成功体験を積み重ね、自信を持たせることができます。
  2. 失敗を共有し、学びに変える: 失敗を責めるのではなく、チーム全体で共有し、そこから学ぶ文化を作りましょう。例えば、定期的な振り返りミーティングを設け、失敗から学んだ教訓を全員で共有することが効果的です。
  3. フィードバックを「成長のためのツール」として活用する: フィードバックは、成長マインドセットを育むための重要なツールです。部下が挑戦した結果を評価する際には、何が良かったか、何を改善できるかを具体的に伝え、次回の挑戦への意欲を引き出しましょう。

5. 学びの文化を醸成する具体的な取り組み

成長マインドセットを推進し、学びの文化を醸成するためには、次の取り組みを導入することをお勧めします。

  • リフレクションセッションの導入: 定期的にチーム内で振り返りセッションを開催し、成功体験や失敗体験を共有することで、学びの機会を提供します。これにより、各メンバーが他者の経験からも学べる環境を作ります。
  • オープンドアポリシーの実践: 部下がいつでも質問や意見を述べられるような環境を整え、上司としてのサポートを示すことで、部下の挑戦意欲を引き出します。
  • 目標設定の再評価: 部下が成長するための目標を定期的に見直し、達成可能でありながらも挑戦的な目標を設定します。これにより、成長マインドセットを維持し、成長への意欲を高めます。

6. おわりに

成長マインドセットと失敗から学ぶ文化の推進は、法務部門や管理職としてのリーダーシップの重要な側面です。失敗を恐れず、挑戦を重ねることで、チーム全体が学び、成長し続ける環境を作り出すことができます。私たちが率先して学びの文化を醸成することで、部下もまた積極的に挑戦し、自らの成長を追求するようになります。

今回で3回にわたるリーダーシップ論の連載は終了しますが、今後も法務部門や管理職に役立つ情報をお届けしていく予定です。ぜひ引き続きご期待ください。

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[リーガルリスクマネジメントの教科書とは?]

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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