【日曜朝連載】私達の英語の法的文書は「重要な順」に書かれていない、という耳の痛いご指摘丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第33回

問題の所在＋ソリューション［各連載回に共通］

Problem Statement (問題の所在)「将来は、グローバルな力も高めたい…でも、英文契約書は怖い」「法律英語が上達しない」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain English』のガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に（同期やライバル達よりも）法律英語に少しだけ強くなっていきませんか？ ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、私たちに「すべての法律文書に共通する」20のルール（連載第1回〜第21回参照）と、「あなたの英語を、分析的・説得的に働かせる技術」（連載第22回〜第31回参照）の10のルールを教えてくれます。

いよいよ、第3章「法的ドラフティングの原則（PRINCIPLES MAINLY FOR LEGAL DRAFTING）」に入りました。この章を一緒に読んでいくことで、読者の皆さまはリーガルライティング（英文契約書のドラフトを含む）の基本原則や実務に役立つ技術を学ぶことができます。ガーナー教授の教科書を精読することで、法律英語の力をさらに一段階高め、より高度なレベルに引き上げていきましょう。

§32: Organize provisions in descending order of importance. Use a good numbering system and abundant headings to make things easy to find.

講義ノート

ガーナー教授は、法的文書（legal documents）の各条項は、①重要度の高い順（descending order of importance）に整理すること、②見出し（headings）や番号付け（numbering system）を使って読みやすくするべきこと、を推奨します。

言われてみれば当たり前ですが、（私達法律家ではなく、法的文書を利用する）読者は「重要な情報を先に知りたい」（lead with your most important points）と考えます。しかし、多数の法的文書は「重要な内容が埋もれがち」です。

教授は、法的文書の構造を論理的かつ明確に整理し、読者が重要なポイントを簡単に見つけられるようにすることが大切であると述べます。教授が挙げる例として、もし「差別的な住宅慣行に関する条例」（a statute dealing with discriminatory housing practices）というものがあった場合、主要な禁止事項（main requirements）や罰則（penalties）を最初に配置することで、全体の読みやすさが大幅に向上すると指摘します。