【日曜朝連載】典型的な法律家の法律英語文書は「冒頭・本文・結論」を無視している丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第23回

本業が佳境のため、数週間、ガーナー教授の精読コーナー更新が停止していました。先週より第2部が再開いたします。また、改めてよろしくお願い申し上げます。

改めて、AIなので誤字はお愛嬌。

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、まず「すべての法律文書に共通する」合計20のルールを提供してくれます(連載第1回〜第21回参照)。

第2部では、ガーナー教授が「あなたの英語を、分析的・説得的に働かせる技術」を厳しく鍛えます。私は外資系企業で合計12年以上勤務しており、「英語で読み書きできる」だけでなく、「分析的・説得的に働いてくれる英語の技術」が求められていることを痛感しています。

あなたの英語は、誤解があれば恐縮ですが単に日本語を英訳しただけの「情報伝達の機械的なソースコード」になっていませんか?(私はこのフィードバックをもらったときは悩みましたが、前進を決意しました。)

情報は文字として伝達(トランスミット)されるだけでは不十分で、相手に影響を与え、こちらが期待する行動変容や回答を引き出すために「分析的・説得的に働く」必要があります。第2部では、英語の「羅列」から「伝わる英語」への進化を一緒に勉強していきましょう!私もまだまだ未熟ですが、精読を通じて皆様と一緒に成長したいと考えています。

要点

メモ

ガーナー教授は、「分析的および説得的な英語ライティング技術」(analytical and persuasive writing)に必要な文章の構造を指摘します。法律家は「本文」だけの文章を作りがちであるという誤りを指摘したうえで、下記の構造のコツを伝授します。

  • 冒頭(the beginning)本文(the middle)・結論(the end)の3つの部分が不可欠であること
  • 冒頭:「具体的な問題提起」(concise statement of the precise point or points at issue)で始まること。そして、誰もが理解できること。例えば、リサーチメモでは、問題の背景(background facts)や主要な事実(essential facts)を簡潔に(concisely)示し、読者に迅速に「問題の核心」(the problem)を理解させること。
  • 結論:同様に重要で、要点を鮮明に(recapitulate)まとめ、説得力のある結語を提供する必要があること。

下記の教科書には、「羅列」された情報のメモをどのようにパワーアップできるかが順を追って具体的に記載されています。「分析的および説得的な執筆」(analytical and persuasive writing)のレベルに到達できず、もがき苦しんでいる方(私同様)は、ぜひご参考にしてください。きっと光明が見えるはずです 🤝

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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<後日更新いたします>

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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