問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]
読了により、得られる情報
ガーナー教授の教科書は、まず、「すべての法律文書に共通」する合計20のルールを与えてくれます。20のルールは、わかりやすく「3つの箱」に分類されています。今回の鍵は下記ハイライト部分に関するルールです。
第1部:すべての法律文書における原則
目次 Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.
1. 思考の枠組み
2. 文章のフレーズ
3. 言葉の選択
[No.17/計20]名札法。人物や会社を名前で参照する。-or や -ee で終わる対応する用語は使用しない
ガーナー教授は、法律文書では、実名を使い、「原告」「被告」などの法的ラベルを避けるべきと提案します。物語を人間味あるものにし、読者が内容をより容易に理解できるようにするためです。また、「-or/-ee」で終わる用語を避け、誤解や退屈な文書を防ぎます。実名の使用は、文書をパーソナルなものにして読者の注意を引きつけます。
日本語で言えば、原告・被告、甲・乙、債務者などでしょうか。
Term Pair | Role of -or | Role of -ee |
---|---|---|
Licensor/Licensee | The party that grants the license | The party that receives the license |
Indemnitor/Indemnitee | The party that provides indemnity or protection against loss or damage | The party that receives this protection |
Mortgagor/Mortgagee | The borrower in a mortgage loan | The lender or the party receiving the mortgage as security for the loan |
Grantor/Grantee | The party that gives or transfers an interest in real property | The one who receives the interest in real property |
Obligor/Obligee | The party that is obligated to perform under a contract or agreement | The party entitled to receive the benefit or performance |
ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―
Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.
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<後日更新いたします>
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。
ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain English』のガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。
想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様