*このコーナー(投稿)は、ユニコーンと呼ばれる米国ITスタートアップで働く弁護士が、入社前にのぞくことができなかった、米国ITスタートアップの法務部門でのカジュアルな話や気づきをシェアするコーナーです。米国のIT系の会社にはパントリーと呼ばれる軽食やコーヒーが自由にとれる談話スペースみたいなものがあり、そこで立ち話をしていると思って読んでいただければ幸いです。執筆のテーマのご提案やご質問などがございましたらお気軽にご連絡ください(メールフォーム)*
皆様の会社は、外国や地方オフィスから出張で役職者がきたとき、その方の考えをシェアしてもらったり、質問する機会は設けられていますか?
私の会社には「Fireside Chat」(ファイヤーサイド・チャット)という「仕組み」があります。
「Fireside Chat」は、暖炉の横でリラックスして話しているような、カジュアルな形式の座談会(炉端会議)です。
通常、1人がホスト(聞き手)、もう1人がホストから質問を受けて、経験や考えを共有します。会場と双方向なことが重要なため、多くの場合、Q&Aセッションが設けられます。
開催のイメージは、具体的にはこのような感じです。
- 法務部門の研修が東京開催が決まり、米国の法務部門から偉い人が出席することがわかる。
- 普段日本に来ないが日本チームに関連する業務を行っていたり、業務を行っていないとしても豊富な経験がありその考え方を学ぶことがチーム全体に役立ちそうか考える。役立つ場合開催を検討する。
- ファイヤーサイドチャットの提案と調整
- 質問を事前に考えてうちあわせ(パーソナルな質問も含まれることが多い)
- ファイヤーサイドチャット開催(多くの同僚が時間が許す限り参加)
- 開催時間はだいたいランチタイムでお昼をたべながら話を聞く
- カジュアルな雰囲気が大事なのでステージとかではなく、うちの会社の場合にはパントリーと呼ばれるゆったりとしたカフェスペースで実施
- 【大規模な場合】米国の本社役員がシンガポール(アジアのHQ)を訪れる際には、ファイヤーサイドチャットをU-streamで各オフィスに中継し、各オフィスからもインターネットで質問ができる
自分がバックオフィス部門にいれば、なかなかビジネス部門の米国の責任者の話を聞くチャンスはレアです(ディナーも通常ビジネス部門のチーム内で行われます)。逆にビジネス部門であれば、法務だったり税務だったりファイナンスだったり、1人ではランチに誘ったり1on1ミーティングのセットが難しい役職者でも広く話を聞け、さらに質問もできます。
こうして、人がオフィスを移動する際に、FiresideChatという仕組みにより、その人の「人となり(人柄)」や「問題意識」がカジュアルな形で交換され、各オフィス・各メンバーに人的信頼関係が生まれるのです。
同じ建物にいながら顔も見たことがない役員がいれば、まずは法務部門で、FiresideChatのゲストとしてお招きしてみてはどうでしょうか。その際は法務に関係のないこと、その人の業務だったり、その人のお人なりだったり(もしかしたら同じ高校や趣味かも?)を知り、部門間の連携をボトムアップで高めていけるかもしれません。
日本企業の場合、「講話」にならないように、場所の選定(無機質な会議室だと講話にちかい)や例えばその日は服装をカジュアルにしたり、場所の雰囲気作りも大事だと思います。Fireside Chat、ぜひお納めください。
(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。