Bojinov, Iavor (2023). Keep Your AI Projects on Track – Most go off course To make sure yours succeed consider these five steps, Harvard Business Review, 101(6), 53-59.
5. 採用と信頼構築
AIプロジェクトが価値をもたらすと評価されたら、広範囲にわたる採用を促進するフェーズに入ります。
LinkedInでは、AIによるデータ分析ツールを導入しましたが、多くのユーザーが製品を理解せず、また信頼していなかったため使用されませんでした。
AI製品への信頼は、アルゴリズム、開発者、プロセスの3つの柱に支えられています。
不信の解消には、製品を試したが使わなかった人々との対話が必要です。
また、AI製品は本質的にランダムで間違いを犯すため、そのプロセスに対する信頼を確保するための反応方法を理解することが重要です。
LinkedInでは、ユーザーが信頼を持てるように認証ボードを設け、間違いがあった場合の責任はユーザーではなくレビューボードにあることを明確にしました。
これらのステップにより、製品の組織全体への迅速な採用を実現しました。
6. AI製品の継続的な管理
AI製品の採用後も、その成功を維持するためには積極的な管理戦略が必要です。エンジニアリングサポートを提供し、パフォーマンスの変化を監視することが基本的な要件です。トレーニングデータが古くなることがパフォーマンス低下の一般的な原因であるため、定期的に新しいデータでモデルを再トレーニングすることが重要です。
2022年に「Science」で発表された研究では、LinkedInの「People You May Know」アルゴリズムが、意図せずユーザーのキャリア展望を変えてしまったことが明らかになりました。このような副作用を防ぐためにも、AIに関するモニタリングや監査を行い、予期せぬ結果、倫理的問題、セキュリティ上の欠陥を探すべきです。
成功する管理とは、現状を維持するだけでなく、技術とユーザーのニーズの変化に応じて製品を進化させ続けることなのです。
今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
毎朝4時台に起床して、なんとか勉強時間を捻出しています。さて、ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読み、後日、講演・執筆で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。
最新号の特集の1つです。今後、私達法律家・法務部門のメンバーがその仕事にAIツールを開発・導入していく上でも、5つのステップは参考になりそうです。第1回から第3回に分けて講演などで利用できそうな関心のあった要点のみをメモしています。LinkedInの実践的な「採用後」の取組みは、AIによるGeneral Legal WorkのProjectを社内でリードする私にとっても、準用できるため、非常に有益でした。
(*)英語力が乏しいためノロノロと順次、テクノロジーの力を借りつつ整理しておりますが、毎号素晴らしい学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、Blogをきっかけに、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。