Kiran Bhatti and Thomas Roulet (2023). Helping an Employee in Distress – Managers shouldn’t try to be therapists, but they should know the basics of mental-health first aid, Harvard Business Review, 101(5), 38-45.
認知行動療法の基礎
- 伝統的な心理分析手法よりも直接的である認知行動療法は、幼少期の記憶を探る専門家によって使用される伝統的な心理分析手法よりもシンプル。
- 認知行動療法の特徴は、特定の症状の治療に重点を置き、潜在的なトラウマや精神疾患には焦点を当てない。定められた期間内で行われる。
- 保険会社は、長期かつ不確定な治療コースが不要な治療法を好むため、認知行動療法は魅力的。
認知行動療法の重点
- 状態間の相互関係: 認知的状態(思考)、気分状態(感情)、生理的状態(身体の感覚)、行動状態(行動)の間の相互関係に焦点を当てる。個人(注:従業員個人)が自分の思考や行動をコントロールし、それが感情状態にポジティブな影響を与え、行動の変化を引き起こすことができる。
社交不安を持つ人への認知行動療法の適用例
- 認知的状態: ネガティブな思考パターンを持つ。
- 気分状態: 不安や恐れ、恥を感じる。
- 生理的状態: 心臓の動悸や汗、震えなどの身体的な反応が起こる。
- 行動状態: 社交的な場面を避けることでこれらの感覚と対処する。
認知行動療法の効果
- ネガティブな思考を特定し、それに挑戦し、代わりのリアルな視点を開発する助けになる。
- 社交的な場面に直面することで新しい思考や行動を経験し、自信を得ることができる。
マネージャーの役割
- ARCモデル: マネージャーが従業員の不健康なパターンを認識、対応、変更するための認知行動療法ベースのアプローチ。
- メンタルヘルスの対応: マネージャーは従業員の苦痛を認識し、その気分の認識を高め、その感情を検証する必要がある。
状態の理解のためのツール: ホットクロスバンマップ
- 感情、身体、思考、行動の4つのセクションでの自己問いかけを通じて、従業員の感情や精神的状態のキーフィーチャーを明らかにするツール。
- 維持サイクル: 感情的な苦痛を維持する行動や思考のパターンを特定するのに役立つ。
職場での典型的な維持サイクル
- 回避
- 活動の低下
- 完璧主義
今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。
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(了)
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毎朝4時台に起床して、なんとか勉強時間を捻出しています。さて、ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読み、後日、講演・執筆で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。
心理学学士・認定心理士を取得し、最高の法務サービスを提供するには「心」の理解が大切と考えています。前回取り扱った、AIが「人の心」に与える影響に続いてワクワクと興味を惹かれたのがこちら、『部下のメンタルヘルス』を論じた論文でした。
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