お知らせ:マルバツで自習する「企業法務革命」―ジェネラルカウンセルの挑戦―の一問一答ノートのエントリを追加しました(New)
ベン・W・ハイネマンJr氏の『企業法務革命―ジェネラル・カウンセルの挑戦―』(商事法務、2018年)
※本記事では、動画の原タイトル引用に置いてハイネマン氏の敬称が省略されている場合がございます、予めお詫び申し上げます※
研究ノート『組織内弁護士の研究材料―マイクロソフト社の顔認識テクノロジ見解公表に見る法務アプローチと法務の役割 (1)』で取り上げた通り、日本の経済産業省は「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会」で報告書を取りまとめました。同報告書は手厳しく日本の法務部門の実像と課題を指摘しており、「ガーディアン」にすらなっていない法務部門があることの示唆以外にも、「ガーディアン」の役割を超えた「パートナー機能」を備えていない法務部門の存在も、日米の比較を通じて、明らかにしています。
経営陣からの意見・判断を求められる頻度 日本: 「月数回」が53%「年1回」が26% 米国: 「毎日」「週数回」を合わせて約70%
『国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書』(経済産業省、2018年)
重要案件の変更可能性: 日本では「助言のみ」が約60%を占めたが、米国では「変更可」「案件によって変更可」で100%。
『国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書』(経済産業省、2018年)
法務のリーダーシップ 〜「何が適法か」だけではなく「何が正しいか」を問い続ける
GEの元ジェネラルカウンセルであるベン・W・ハイネマンJr氏は、ジェネラルカウンセルの役割について、下記のように述べるとともに、アジア・ヨーロッパにおける組織内弁護士の役割は、ハイネマン氏が述べる「広範な役割」に至っていないと指摘するところです。
『パートナーとガーディアン』(略)企業を支援するという重要な役割を演じるジェネラルカウンセルが、高い業績を倫理性及び健全なリスク管理と融合させるという基礎的な目標(を負う)…
企業と社会との交流の場において、業績や倫理性、リスク管理に関して、「何が適法か」だけでなく、「何が正しいか」を常にしつこく問わなければならない。
この「正しいか」という問いかけが生じるのは(略)ジェネラルカウンセルが意思決定に貢献するとともに、価値を創造し、高い倫理性と健全なリスク管理を企業に根付かせるという戦略や作戦目標を実践するという企業の生存に関わる役割を演じているからである。
ハイネマン『企業法務革命―ジェネラル・カウンセルの挑戦―』500頁(商事法務、2018年)
また、経済産業省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方について」の議論においても、ハイネマン氏の研究・フレームワークは当然に取り上げられ、報告書の基礎をなしています。
1. GC(ジェネラルカウンセル)は、…取締役・CEO・ビジネスリーダーの良きパートナーでありつつ、しかし最終的には企業のガーディアンとしての役目を果たさねばならない…。
原典:NBL No.1100 (2017.6.15)より抜粋/2018年1月 経済産業省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方について」資料3
2. 企業の健全性が、世界規模で飛び交う、複雑で急速に変化する法律、規制、訴訟、公共政策、政治、メディアおよび圧力団体の要求を上手く捌くことによって保たれるので、GCは、取締役、CEO、ビジネスリーダーから、今や最高財務責任者(CFO)に匹敵する重要性を有すると考えられている。
本ページの目的:ベン・W・ハイネマンJr 氏に関する12本の動画
ハイネマン氏を12本の動画で特集
さて、ハイネマン氏の経歴などは、書籍をみれば明らかであるところ、この記事では別の付加価値を提供したいと考えております。
いろいろ調査したところ、ハイネマン氏の講演会などの動画を1つにあつめたページが見当たらなかったため、早速収集・共有いたします。
経営法友会様の最新動画に加え、ハイネマン氏の口から語られる言葉を大切に集めました
本ページの目的は、ハイネマン氏の「企業法務革命」の書籍に学ぶ私を含む日本の組織内弁護士・法務部門がハイネマン氏の過去の利用可能な講義に容易にアクセスできるリンクを提供し、もって、皆様の貴重な時間をセーブ(動画の捜索ではなく、学習に当てること)を目指すものです。
動画①米国におけるジェネラル・カウンセルの意義(経営法友会)
経営法友会様への敬意・感謝
最新のアクセス可能な動画(日本語字幕付)として「第20回経営法友会大会」の「第1部・基調講演(ビデオインタビュー)」がYouTube上で閲覧可能です。このような貴重なご講演を一般公開してくださった経営法友会様には、経営法友会様の会費の負担が難しい少人数法務部・組織内弁護士にとって、非常に有り難いことであると感じております。この場を借りて、私個人として、心から御礼申し上げます。
関連リンク: 第20回経営法友会大会 企業内法務革命―2030年の法務
米国におけるジェネラル・カウンセルの意義(74分)
動画②The Inside Counsel Revolution (Ben W. Heineman, Jr.)
続いて、2017年8月に公開された「The Inside Counsel Revolution」と題されたACCイスラエルでの講演会の動画。
The Inside Counsel Revolution (49分)
動画③ Ben Heineman, Jr. on “The Inside Counsel Revolution”
2016年11月に公開されたNYCでの講演会の動画です。
Ben Heineman, Jr. on “The Inside Counsel Revolution” (1時間8分)
動画④ HKS Library Virtual Book Tour with Ben W. Heineman Jr.
こちらは2017年公開となっていますが、下記の通り、ハイネマン氏の著作「High Performance with High Integrity(*)」についてハイネマン氏の口で著作の内容をざっくりと語ったものです。
(*)High Performance with High Integrity (Memo to the CEO) – 2008/5/6
Ben W. Heineman Jr. (著)
HKS Library Virtual Book Tour with Ben W. Heineman Jr. (2008) (1分)
動画⑤ Benjamin W Heineman, Senior fellow law School, Former GC at GE (Le Monde du Droit 2016)
2016年10月に公開された仏国でのインタビュー動画です。2分40秒にハイネマン氏の「コア」が詰まっています。
Benjamin W Heineman, Senior fellow law School, Former GC at GE (Le Monde du Droit 2016) (約3分)
動画⑥ Attorney Ben Heineman Jr. Discusses His Book ‘The Inside Counsel Revolution’
2016年10月に公開されハイネマン氏自身による「企業法務革命」紹介の動画で、必見です。18分ですので、英語があまり得意でない方でも、リスニング強化のために使える動画だと思います。
Attorney Ben Heineman Jr. Discusses His Book ‘The Inside Counsel Revolution’16) (約18分)
動画⑦ Attorney Ben Heineman Jr. Discusses His Book ‘The Inside Counsel Revolution’
2016年5月に公開された12分の動画です。
Resolving Tensions Between the General Counsel, CEO & Board(約12分)
動画⑧ Book launch: High Performance with High Integrity
2016年3月に「Center for Strategic & International Studies」により公開された12分の動画です。ハイネマン氏の著作「High Performance with High Integrity」に関連・フォーカスした講演会であるため、見る優先順位としては後回しでも良いかもしれません。
Book launch: High Performance with High Integrity(1時間2分)
動画⑨〜⑫ 中央ヨーロッパ大学(ハンガリー:1991年創立)での集中講義
ハイネマン氏の「企業法務革命」の中で重要なパートを占める、第9章「企業が良き市民であることと公共性の優越」につながる、一連の講義です。4本続けて紹介致します。
Ben Heineman: Business and Society(1時間12分)
Ben Heineman: Establishing Global Ethical Standard(1時間19分)
Ben Heineman: Confronting Corruption (1時間20分)
Ben Heineman: The Foundations of Capitalism (1時間19分)
ハイネマン氏から学ぶ情報をこれからも適宜アップデートして参ります。
(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。