制作裏話(1):昼間課長と事課長補佐が実は一番好き―渡部友一郎『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』

1番思い入れのあるキャラクター

事課長補佐(左)と昼間課長(右)の下書き

星井先生から頂いたシナリオ・ネームの初稿を拝見したとき、課長と課長補佐の「コンビ」がとても好きになり、引き込まれてしまいました。ビジュアルについては、行政官の方々とお仕事をしており、尊敬する方や友人の方にも行政官の方がいる中で、一般の方からみた「お役人さん」という感じでマンガ特有のデフォルメがされておりますが、上記の通り、もともとが創作の「コンビ」がネームとして出てきたもので、勿論モデルはおりませんし、また、コンビという点で創作されたのだと理解しています。

ただ、実在する機関や人物の誰も傷つけたくないということで、マンガでは、あえて、「あり得ないネーミング」を検討しました。当初のネームでは川奈課長・山田課長補佐(仮)になっておりました。同姓同名の方がもし一人でもいらっしゃると、フィクションとは言え、ご不快な思いをさせてはいけないとすぐに変更をしました。これは議員及び議員秘書も同様で、おそらくいらっしゃらないだろうという創作的なお名前にしております。

実は、昼間課長の下の名前は中々決まらず、マンガの中でも主人公たちに対しては内なる感情を表にはせず、淡々と、しかし、明晰な判断を下していくことから、穏やかな温かみのある「灯台」か「行灯」がいいかなと考えておりました。実は、「国を動かす」の章のメインキャラは、火🔥(明暗)のつながりがある「火の丸」「行灯」「暗闇」「薪」などが選ばれています。

そして、ここからは私の国語力の乏しさで率直にお詫びではあるのですが、普段遣いしない言葉の中に、「昼行灯」という言葉がありまして、これが実はよくよく丁寧に調べてみるとあまりよろしくないニュアンスを含んだ(揶揄したともとられうる)言葉であり、私自身は意味を明確に認識できておらず、どこか頭の片隅にあったので(多分、マンガジパングで梅津船長が「昼行灯」というあだ名だった=当時、おっとりした人程度の意味におもっていた=)、言葉をつなげてしまいました。この点は、率直に私の盲点で(御指摘をくださった先生に感謝です)、もし不快な思いをされた方がおられましたらお詫び申し上げます。

課長補佐のお名前も劇中の態度から「事なかれ主義」からとったものですが、行政全体への批判などではございません(逆に、劇中に登場してサポーティブに活躍する行政官も描いているようにフィクション・創作中のネーミングということで御海容ください)。この点も、もし御指摘がありましたら、私の至らなかった点として、お詫びいたします。

渡部友一郎『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』 https://www.amazon.co.jp/dp/4817848650/ | Amazon第1位 (3/11法学新着)

そして、名前のお話をしてまいりましたが、この昼間課長、実は、複雑な想いをもっている方だということが分かります。もしかしたら、過去に、国会議員の先生とやりあって苦労されたことがあるのか、はたまた、本当は様々な新規の制作を実現したいのかもしれませんが立場上どうしてもそのような態度を取らなければならなかったり、星井先生が語らせた「オワコンだよ」は、何か諦めというか、私自身も昼間課長の深淵を覗けていないので解読はできていませんが、上記のような背景を想像させます。

そんなこんなで、私は劇中で、この謎が多い課長が大好きで、私自身も原作者として原作を書いた際には1人だった行政官が2人のコンビとなり、原作者・シナリオネーム・作画の三者が触媒となって新しい創作が生まれた1つの体験として、強くこの課長に想いを寄せております。

***

ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

渡部推薦の本丨足りない、は補えばいい