カンパニーロイヤー丨目次
カンパニーロイヤーの新刊情報
本間正浩『カンパニー・ロイヤーへの道程―その意義・価値、ジレンマ』(中央経済社、2025年)
カンパニーロイヤーにおける本間先生の言葉
「二足のわらじ」のジレンマは,カンパニー・ロイヤーがカンパニー・ロイヤーとしての意義と価値を全うしようとするにあたり必然的かつ不可選なものとしてこれに内在するものである。
―本間正浩 弁護士
本間正浩先生の『カンパニー・ロイヤーへの道程』の表紙


本間正浩先生の『カンパニー・ロイヤーへの道程』について
日本組織内弁護士協会のメーリングリストにて、本間先生から会員向けに書籍ご紹介のメールを拝見したことを契機に、本書を拝読したいと考え、購入いたしました。なお、本体価格は5,500円(税込)でございます。
日本弁護士連合会においても、本間先生は組織内弁護士の重鎮として、私たち中堅・次世代の組織内弁護士のために環境を整えてくださっていると伺っております。特に、先生が委員長を務められている委員会に所属する同世代の委員の方々から、そのご尽力についてよく耳にしてまいりました。
中央経済社様のX(旧Twitter)では、本書を「企業内法務に従事するプロフェッションである『カンパニー・ロイヤー』(企業内弁護士)の意義と価値を概観し、あるべき姿を提示する」と紹介されております。確かに的確なご説明であると感じつつも、誤解があれば大変恐縮ですが、出版社による「カンパニー・ロイヤー=企業内弁護士」との括弧書きと、本間先生が本書で定義されている「カンパニー・ロイヤー」の概念とは、やや異なるように思われました。実際の本文では、弁護士資格の有無に限定されず、かつ法務部門所属者すべてを包括するわけでもないと記されており、この点は重要な示唆であると理解しております(齟齬があればご容赦ください)。
この記述を拝読した際に、私は先生の過去のご発言を思い出しました。
「変な言い方ですけれども、弁護士資格はそのような能力・資質があることについての一種の『証明資料』でしかないのかなあと思っているのが本音であります。しかし、一方で、それは有力な、かつ、価値的な証拠方法なのだろうなと思っています。」
―本間正浩先生(日清食品ホールディングス執行役員・CLO)「座談会 岐路に立つ企業内弁護士(上)」ビジネス法務2015年6月号75頁
本書には、上記のご発言と重なる部分があるように感じられます。すなわち、弁護士資格の有無を分水嶺とせず、「専門性と倫理観を高い次元で共有できる人材は確かに存在する。他方で、それを全員に求めるのは現実的ではない」という両面を踏まえた現実的な解を提示されている点に、本書の先駆性があるのではないかと考えます。今後の組織内弁護士やリーガルプロフェッション全体の議論においても、避けて通れないテーマになるでしょう。
もちろん、私自身の理解はまだ浅く、深い理論を咀嚼するには繰り返し読み込む必要があると感じております。それでも、この「カンパニー・ロイヤー」という概念は、単なる制度論的な時計の巻き戻し(例:届出制から許可制へ戻すべきといった議論)とは明確に一線を画し、未来志向の新しいプロフェッショナル論として、多くの議論と気づきを促すものだと強く感じております。
若輩としては、伝統的な弁護士像を論じる先生方や、法曹論を主要な研究分野とされている学者の先生方からの本書が喚起している議論へのご応答とこの領域のさらなる議論の深化を、1人の組織内弁護士として、勉強をさせていただくことを心より楽しみにしております。
ご関心がある方・勉強されたい方:詳しい情報はどうぞこちらをご参照ください。
引き続きご指導ご鞭撻をどうぞよろしくおねがいします。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
いつも大変お世話になっております。今回は、書籍紹介と名言バトンのコーナーがミックスした形で、最近購入した本間先生のご高著『カンパニー・ロイヤーへの道程―その意義・価値、ジレンマ』(中央経済社、2025年)について、謹んで、読者の皆さまへ紹介させていただきます。