問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]
第6回の読了により、得られる情報
ガーナー教授の教科書は、まず、「すべての法律文書に共通」する合計20のルールを与えてくれます。20のルールは、わかりやすく「3つの箱」に分類されています(下記)。
第1部:すべての法律文書における原則
目次 Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.
1. 思考の枠組み
2. 文章のフレーズ
3. 言葉の選択
読者は、読了により、「思考の枠組み」という3つの第2の箱にしまってある鍵『§ 5. Exclude unnecessary words. / 不必要な言葉を除く。』を理解し、自分・チームの業務を今日この日から改善できます。
[No.5/計20]語るは銀、省くは金:法律文章の極意
(✕)It is not necessary that an investment adviser’s compensation be paid directly by the person receiving investment advisory services, but only that the investment adviser receive compensation from some source for his other services.
(◎)Although the investment adviser must be paid, the source of the payment does not matter.
Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press. p. 32.
- ガーナー教授は、冗長性を削ぎ落とすことにより、読者はより速く読み、作者は考えをより明確に結晶化できると主張します。
- 法律家は「意味を変えずに文を長くすること」は得意であるが、逆に、「意味を変えずに文を短くすること」は不得手であるという教授の指摘は大変耳が痛いです。
- ガーナー教授は、本セクション[ぜひ購入してエクササイズにも挑戦してください]において、5つの行動原理を紹介してくれています。そのうちの1つを要約すると「ドラフトが完成したら、ゲームをしているかのように、不必要な用語をどんどん消していきなさい(逆に、消したらmisleadingになる言葉は残せ)」とアドバイスしています。
皆様は、冗長さを省くために工夫されていることはございますか?ぜひお知恵があれば私にも教えてください。
ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―
Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。
ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain English』のガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。
想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様