問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]
第9回の読了により、得られる情報
ガーナー教授の教科書は、まず、「すべての法律文書に共通」する合計20のルールを与えてくれます。20のルールは、わかりやすく「3つの箱」に分類されています(下記)。
第1部:すべての法律文書における原則
目次 Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.
1. 思考の枠組み
2. 文章のフレーズ
3. 言葉の選択
読者は、読了により、「思考の枠組み」という3つの第2の箱にしまってある鍵『§ 8. Use parallel phrasing for parallel ideas: don’t pair unlike grammatical forms / 並列のアイデアには並列のフレーズを使う』を理解し、自分・チームの業務を今日この日から改善できます。
[No.7/計20]できる法律家は美しい「並列」を心がけている
今回は少しテクニカルですが、意識ているだけですぐに修正できるアドバイスです。
ガーナー教授は、法律英語の文書における「並列性」について2つのテクニックを指摘します。
- 「異なる形式」を混在させないこと。[例:(i) XXX; (ii) YYY; and (iii) ZZZ の3つは名詞なら名詞で揃える]
- 「チェックリスト」等のリストについても、各項目は文法的に一致した表現にすること。
上記も、並列性を意識して「〜こと」で揃えました。
たしかに、自分自身の法律メモのリスト、さらに、法律事務所のDDリストやニュースレターで記載されている図やリストも、日本語でも、必ずしも「名詞」で統一されていないというのはあると思います。
ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―
Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。
ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain English』のガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。
想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様