24年4月 社外役員就任のご報告(こちら)

組織内弁護士として入った会社が「人基準」だったとき、どうキャリアを作るか?3つの処方箋



御礼:経済産業省「令和報告書」のJILAセミナー

20年1月8日、日本組織内弁護士協会の特別セミナー「真の企業競争⼒の強化に向けた企業内外の弁護⼠実務の在り⽅〜国際競争⼒強化に向けた⽇本企業の法務機能の在り⽅研究会報告書」の解説とパネルディスカッション〜」にパネリストとして登壇いたしました(令和報告書はこちら)。

親研究会の三村先生、平泉先生、さらに司会が榊原JILA理事長ということもあり大変緊張いたしました。とりわけ、最前列に憧れの元マイクロソフト&元シャープ法務執行役員の伊藤ゆみ子先生がいらっしゃり、直前に温かいお言葉をいただき緊張・感激しました。

おかげさまで、事前準備もあって、無事に役目は果たせたと思います。まず何より皆様・関係者の方々へ、心からお礼申し上げます。

会場から出た興味深い質問

令和報告書より抜粋

会場から令和報告書を読んで、業務基準の人材活用をする企業の優位性を感じた。しかし、実際入った会社が『人基準』の会社なら、どう成功するキャリアを描いて行けばよいのでしょうか?」という概要の質問がありました。

私の考える3つの処方箋

①そもそも会社とは「別軸」の成長機会を設ける

ピュアに「人基準」の会社は、昇進に基準があるようでなくて、頑張り度とかいった「感覚値」に近いものが支配していることすらあります。

「人基準」に従い、自分の上のレイヤーも過去昇進してきているので、同じ役職(例:部長の1つ下の役職など)でも人によって能力パラメータがバラバラということもあります。

憧れる素敵なできる役職者もいれば、年数が長いからなんとなく上にあがってきた役職者もいたり、逆に、自分がどうその役職者のポジションにたどり着けるのか「人事部や部長/マネジャーのさじ加減」以外の明瞭な基準が見えないこともあるかもしれません。

処方箋:Think outside the box―まず会社のセッティングする「軸」とは別の「軸」を自分で見つけて作りましょう。おすすめはカリフォルニア州司法試験(勉強法や教材はこちらの別頁ページ御覧ください)。日本の弁護士資格があれば20年7月の試験からでも受験できます。別軸の成長機会を会社と別に設けることで、会社の「人基準」による読めない将来(昇進時期など)をヘッジし、外部人材市場での価値を高めるのです。

②常にCV(自分のレジュメ)に追記できる仕事か外部人材市場の視点からも検討する。価値があればCVに足して行くメンテンナンスをする

「NDAの雛形を古いものから新しいものまで整理して」という業務を仮に引き受けたとします。会社内では価値が高くても、外部的にはどれだけValueがあるか怪しい仕事かもしれません。(→会社の面接を受けに来た候補者がレジュメに書いて、あなたの目にとまるか否か基準)。

実は血眼になってやっている仕事が、大局的に見ると、ささいな、実はたいしてValueがない仕事であることもあります。このように外部人材市場から私の仕事を常に振り返りつつ、この仕事がどれほど持続的な価値があるのかをアセスすると、会社に奉仕し続けてバーンアウトすることも少なくなります。

処方箋:半年に1回は自分の半期の仕事を棚卸しして、レジュメに何が追記できるかを真剣に検討して、「人基準」の中でも、外部的に価値がある業務を見極め掴み取る意識を高めてはいかがでしょうか。

自分の仕事の外部的価値を何も考えなくなったら(外部からの複眼的にタコツボ化していないかの確認を忘れるほどに没頭していたら)黄信号です。

③「人基準」をハックする。ハックしてしまう。

私は「人基準」は、使い方次第では、成長機会を求めている方に大きなチャンスを生むと思うのです。

なぜなら、能力あって徐々に自分がチームに役立つことをわかってもらえれば、客観的な業務範囲ではなくても、信頼によって任せられるという「業務基準」では生じ得ない「バグ」が発生するからです。

私も、DeNA時代は、国際・外国法務を扱うグループにおりましたが、自らいろいろな事業部やバックオフィスに貢献したかったので、徐々に、採用・人事・労務系、コーポレート系、新規事業系などの仕事を任せてもらえるようになり、どんどん他の人の仕事を一緒にさせていただき、1人でまわすようになりました。そのうち、小さな投資案件の契約書までやるようになり、さらに大きな合弁契約などにどんどん職務範囲が高まり、広がっていきました。

処方箋:これは「業務基準」だと逆におきにくいわけです。ですので、「人基準」ならその基準を上手に「ハック」して、積極的に本来の「職務外」に乗り出し、多くの方から学び教えてもらい、さらにその方を助けてみるのはいかがでしょうか。

深掘りのための資料


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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