
◯✕ 問題<正解は末尾>
問1 次の文は正しいか?― 「First Three Steps」マイルストーンでは試作(プロトタイプ)の提示まで求められる。
問2 次の文は正しいか?― ヘルスケアチームはスペルチェック機能とスマートコントラクトの発想を組み合わせ、AIツール「Creative License」を考案した。
Michele DeStefano, Legal Upheaval: A Guide to Creativity, Collaboration, and Innovation in Law (Ankerwycke 2018). [Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]
デスゲファノ教授は、この章では、実践的な当てはめを紹介しています。
4か月・3フェーズ・5ステップから成る「3-4-5メソッド」をヘルスケア企業チームの実例で検証しており、原著を手にとっていただきたいのですが、簡単に私が理解したなりに要約すると:
KickOffで結束と基本技能を習得した後、チームは①広範な調査②問題の絞り込み③二者(法務・マーケ)の感情と行動を深掘りの往復を経て、重複依頼と誤記修正に疲弊する法務部と即時助言を欲するマーケ部という両面課題を確定しました。ステップ④ではスペルチェックとスマートコントラクトを掛け合わせ、入力中に法規・ブランド・リスクを三軸で採点し、非適合コンテンツのみ法務に自動送付するAI「Creative License」を設計。⑤ではプレモータムで失敗要因を洗い出し、試作動画・事業計画・30秒CMを作成し、複数回のピッチとシャドーチーム評価で改善を重ねました。最終のConPosiumでは200名で動態発表を行い、創造性賞を受賞。過程全体が「学習と関係構築」という二重の価値を生み、メソッドの有効性を証明しました。
疑似体験にぴったりの章です。
<本日の答え合わせ>
◯✕ 問題
問1 次の文は正しいか?― 「First Three Steps」マイルストーンでは試作(プロトタイプ)の提示まで求められる。
答 ✕
理由 この段階で確認されるのは主として課題設定とターゲット像の妥当性であり、本文では試作は「First Four Steps」以降の課題とされているため誤り。
問2 次の文は正しいか?― ヘルスケアチームはスペルチェック機能とスマートコントラクトの発想を組み合わせ、AIツール「Creative License」を考案した。
答 ◯
理由 チームは既存技術の“エグザプテーション”を通じ、入力時に法的リスクを自動評価するAIソリューションを創出したと本文で述べられているため正しい。
お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。
原著購入の推薦 最後に、本書は「AI時代」到来前の2018年に刊行されながら、リーガルオペレーションや「テック×法務」を先取りし、リーガルテック導入時に直面する障壁を分かりやすく説明しており、非常に学ぶ価値の高い書籍であると考えています。もし研究・実務などでご関心があれば、右のURLからぜひご購入をご検討ください。[Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
毎週日曜の朝に更新し、日本では未翻訳の名著に光を当てます。
著者ミシェル・デステファノ氏はマイアミ大学ロースクール教授であり、ハーバード・ロースクールのエグゼクティブ教育プログラムでも教鞭を執る法律教育者です。米国法曹協会からLegal Rebelに選出され、フィナンシャル・タイムズでも「最も革新的な弁護士」トップ20の一人と評価されています。
現在、Airbnbのグローバル法務で各国のリーガルテックに触れる中で、本書のポイントを自分なり取捨選択して謹んで共有したいと考えました。学びの途上として整理した私なりのメモを、毎週日曜朝に全12回でお届けします。
本連載を最後までお読みいただければ、法律事務所でも企業でも「新しい時代の法律家」に求められる視点をデスゲファノ教授から学べると思います。本書から共に学ぶ時間を、私自身も楽しみにしています。