【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第2回―なぜ弁護士はイノベーターの”マインドセット+スキルセット+行動様式”を磨くべきなのか?(その2)

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第2回―なぜ弁護士はイノベーターの"マインドセット+スキルセット+行動様式"を磨くべきなのか?(その2)

◯✕ 問題<正解は末尾>
問1 次の文は正しいか?― LegalZoomなどのオンラインサービスは、商標出願を含む一部の法律サービスを低コストで提供している。


問2 次の文は正しいか?― 著者は、(注⚠️ 2018年当時)すでに「法律界のSpotify」に相当する破壊的イノベーションが登場し、伝統的大手法律事務所は急速に衰退していると述べている。

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毎週日曜の朝に更新し、日本では未翻訳の名著に光を当てます。

著者ミシェル・デステファノ氏マイアミ大学ロースクール教授であり、ハーバード・ロースクールのエグゼクティブ教育プログラムでも教鞭を執る法律教育者です。米国法曹協会からLegal Rebelに選出され、フィナンシャル・タイムズでも「最も革新的な弁護士」トップ20の一人と評価されています。

現在、Airbnbのグローバル法務で各国のリーガルテックに触れる中で、本書のポイントを自分なり取捨選択して謹んで共有したいと考えました。学びの途上として整理した私なりのメモを、毎週日曜朝に全12回でお届けします。

本連載を最後までお読みいただければ、法律事務所でも企業でも「新しい時代の法律家」に求められる視点をデスゲファノ教授から学べると思います。本書から共に学ぶ時間を、私自身も楽しみにしています

Michele DeStefano, Legal Upheaval: A Guide to Creativity, Collaboration, and Innovation in Law (Ankerwycke 2018). [Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

法務におけるイノベーション・トーナメント

デスゲファノ教授は、(2018年当時の話ではあるものの)LegalZoom(米国発オンライン法律サービス)やAxiom(契約弁護士派遣の新興大手)、Big4系ALSP(四大会計事務所の法務部門)など多様な新勢力が登場し、提供・価格・調達・パッケージ化・定義の各面で法律サービスが急速に進化する現状を示します。Dentons(世界最大級の国際法律事務所)のNextLaw Labsなど社内インキュベーションや訴訟ファンディングが市場を拡大。一方、Spotify(音楽業界の破壊者)のような決定打は未出現でAI影響も誇張が残ります。著者は弁護士が大会へ参戦し、革新的マインドとスキルを磨く重要性を説きます。

<本日の答え合わせ>
◯✕ 問題


問1 次の文は正しいか?― LegalZoomなどのオンラインサービスは、商標出願を含む一部の法律サービスを低コストで提供している。
答 ◯

理由 本文では著者がLawWithoutWallsの商標をLegalZoom(米国発オンライン法律サービス事業者)で1,000ドル未満で取得した体験を示し、こうした業務はオンラインの方が合理的と述べているため正しい。

問2 次の文は正しいか?― 著者は、(注⚠️ 2018年当時)すでに「法律界のSpotify」に相当する破壊的イノベーションが登場し、伝統的大手法律事務所は急速に衰退していると述べている。
答 ✕

理由 本文では「法律市場にはSpotify(音楽業界を一変させたストリーミング企業)のような破壊的存在はまだ現れていない」と明言し、イノベーションは進行中だが大手事務所の急速な衰退は起きていないと示しているため誤り。

お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。

原著購入の推薦 最後に、本書は「AI時代」到来前の2018年に刊行されながら、リーガルオペレーションや「テック×法務」を先取りし、リーガルテック導入時に直面する障壁を分かりやすく説明しており、非常に学ぶ価値の高い書籍であると考えています。もし研究・実務などでご関心があれば、右のURLからぜひご購入をご検討ください。[Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。