
◯✕ 問題<正解は末尾>
問1 次の文は正しいか?― 世界経済フォーラムは、私たちが「第四次産業革命」に突入したと報告している。
問2 次の文は正しいか?― 著者によれば、2018年当時、AIはまだ法律実務にはほとんど利用されておらず、近い将来も影響は限定的である。
Michele DeStefano, Legal Upheaval: A Guide to Creativity, Collaboration, and Innovation in Law (Ankerwycke 2018). [Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]
デスゲファノ教授は、①テクノロジー、②社会経済・人口動態の変化、③グローバリティ/グローカリティという3つの力が法務市場を根底から揺さぶっていることを指摘し、さらに、AIやIoTが法律サービスの提供速度と形態を拡張し、リモートワークや多世代混在が組織構造とクライアントが期待されると分析しています。さらに、各国の規制強化と域外適用がリスクを複雑化させ、企業法務はVUCA環境への対応を迫られていると分析しています。このような「激変期」を生き抜く唯一の手段として、弁護士がイノベーション志向のマインドセット・スキルセット・行動様式を身につける必要性を強調しています。
<本日の答え合わせ>
◯✕ 問題
問1 次の文は正しいか?― 世界経済フォーラムは、私たちが「第四次産業革命」に突入したと報告している。
答 ◯
理由 本文で世界経済フォーラムの報告を引用し、技術革新が牽引する第四次産業革命に入ったと述べているため正しい。
問2 次の文は正しいか?― 著者によれば、2018年当時、AIはまだ法律実務にはほとんど利用されておらず、近い将来も影響は限定的である。
答 ✕
理由 本文ではAIが契約レビューや訴訟予測など多様な場面で既に実装されており、Dentons(世界最大級の国際法律事務所)がROSS Intelligence(IBM Watsonを基盤とするリーガルAIスタートアップ)と連携して高速な法律助言アプリを開発する例など、将来的影響も大きいと示しているため誤り。
お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。
原著購入の推薦 最後に、本書は「AI時代」到来前の2018年に刊行されながら、リーガルオペレーションや「テック×法務」を先取りし、リーガルテック導入時に直面する障壁を分かりやすく説明しており、非常に学ぶ価値の高い書籍であると考えています。もし研究・実務などでご関心があれば、右のURLからぜひご購入をご検討ください。[Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
毎週日曜の朝に更新し、日本では未翻訳の名著に光を当てます。
著者ミシェル・デステファノ氏はマイアミ大学ロースクール教授であり、ハーバード・ロースクールのエグゼクティブ教育プログラムでも教鞭を執る法律教育者です。米国法曹協会からLegal Rebelに選出され、フィナンシャル・タイムズでも「最も革新的な弁護士」トップ20の一人と評価されています。
現在、Airbnbのグローバル法務で各国のリーガルテックに触れる中で、本書のポイントを自分なり取捨選択して謹んで共有したいと考えました。学びの途上として整理した私なりのメモを、毎週日曜朝に全12回でお届けします。
本連載を最後までお読みいただければ、法律事務所でも企業でも「新しい時代の法律家」に求められる視点をデスゲファノ教授から学べると思います。本書から共に学ぶ時間を、私自身も楽しみにしています。