
書誌情報
渡部友一郎「企業法務部からみる法の地平(2)TOEIC990点の先へ、文化を超える組織内弁護士の醍醐味」法学セミナー844号(2025年)66-71頁
法務部員・組織内弁護士向けのまとめ
本稿は、鳥取出身で海外経験のなかった筆者が、TOEIC990点とカリフォルニア州司法試験への挑戦を通じて、異文化の外資系企業の中で、学んだことを振り返ります。最終的には、高度な英語試験の点数とともに、「文化を翻訳し簡潔に伝える力」が国際業務でどう役立つかを実例で整理しました。学びの途中で得た気付きを共有します。
法務部員・組織内弁護士のNext Step
点数を「動かす英語」に変える TOEICで培った基礎を実務の法律英語へ接続します。米司法試験問題や法律英単語帳を教材に①専門語彙を増やす②制限時間内に要点を抽出する、を徹底すると説得力ある英語運用力が身に付きます。
文化と背景を添えて簡潔に届ける 例えば、日本の法律事務所が米国クライアントへ伝えたい「It is very difficult」の背後にある意図を読み取り、文化差を踏まえて再構成する力が必須です。報告書やメールは①結論を3行②根拠を箇条書き③必要なら文化的背景を1文で補足、を習慣化すると意思決定が速まります。
おわりに
学生時代に生協で欠かさず手に取っていた法律雑誌に寄稿できるのは、大変光栄です。編集部からご連絡をいただいたときは本当にうれしく思いました。ありがたいご縁に恵まれ、これまでに寄稿した記事は通算で100本を超えましたが、実は「わたしの仕事、法つながり:ひろがる法律専門家の仕事編(第7回)イノベーションを支える弁護士:ベンチャーの懐刀となる組織内弁護士」法学セミナー60巻11号(2015)6・7頁が2本目の原稿でした。そこから10年を経て再び同誌に筆を取る機会を頂き、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。学びの途中でまとめた内容が、読者の皆さまのヒントになれば幸いです。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
司法試験受験生時代(学部時代)に愛読していた「法学セミナー」(日本評論社様)にて、連載「企業法務部からみる法の地平」を担当させていただくことになりました。リレー連載のうち私が担当する初回〜全2回のうち第2回目となります。まだまだ組織内弁護士や法務部員として研鑽中の身ではありますが、学生の方々・法務部門の方々へお役に立てば幸いです。キャリアや日々の業務に小さな気づきやヒントを得ていただけるよう努めてまいります。