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テック企業の組織内弁護士が押さえておきたい「資格取得」のメリットとは?丨精読『Workplace Strategies for Technology Lawyers』[10/36]【木曜/土曜 掲載】

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在) 私は、現在、『リーガルリスクマネジメントの教科書』の姉妹編となる「新しい書籍」を心を込めて執筆しています。新著は、組織内弁護士として、法務部門の中で、少ない摩擦で充実した活躍をするための様々な私の失敗と学びを透明性をもってまとめた本になります。法律の専門家から組織内弁護士への「transformation」には多様な支援が不可欠です

ソリューション ある日、Amazonの書籍の中に、海外の組織内弁護士に対して同じ視点からTip(ヒント)を提供している書籍に出会いました。本書は「Do you want to stand out as a successful in-house counsel?」と問いかけます。海外と日本の違いはあるかもしれませんが、海外で100以上の高レビューを獲得している書籍を一緒に精読していきましょう。

想定する読者 法務部門の方(とりわけ組織内弁護士)、外部弁護士の方、ロースクール生・司法修習生の方

テック企業の組織内弁護士が押さえておきたい「資格取得」のメリットとは?

講義ノート

本書の筆者は、テック企業で法務として働くうえでは、プライバシーやセキュリティなど、業務領域に直接かかわる資格やオンライン講座を活用して知識を深める方法を提唱しています。具体的には、資格取得のメリットとして、学習の過程で専門知識を体系立てて習得できるだけでなく、業界団体への参加やネットワーキングの機会も得られることを指摘します。

私個人の考え⋯皆様はどう思われますか?

私個人の考えとしては、資格取得を視野に入れることは有益だと思います。皆様はどう思われますか?

私は「留保付きの賛成」です。

たとえば、スポーツ選手がオフシーズンに新しいトレーニングメソッドを取り入れれば、一層競技力を高められる可能性がありますが、一方で時間とコストの負担が増えたり、本来の練習時間を削るリスクもあるかもしれません。テック企業の法務で資格を取得する場合も同様で、「時間や予算をかける価値があるか」「実務と直結しているか」を吟味することが大切です。資格そのものを取るだけではなく、学んだ内容をどのように業務へ活かすかがポイントになるでしょう。

この点から、資格取得はあくまで手段の一つと考えるべきで、むやみに多くの資格に手を出してしまうと、かえって本業に支障をきたす可能性があります。

とはいえ、一定の基礎理論を学び直す「ファーストプリンシプルズ」的な視点を得られるのは大きな利点でもあるため、自身のキャリアや企業の方針に合わせて選択すれば、スキルアップと専門性の強化に有効な手段となり得るでしょう。

ここまで読んでいただいた方は、資格取得についてどのように考えられますか。ぜひご意見をお聞かせください。

Workplace Strategies for Technology Lawyers ―原典の推薦―

David Sclar. (2021). Workplace Strategies for Technology Lawyers.

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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