松尾剛行弁護士「海外のクライアントは⋯『自分たちは日本法につき生成AIを使ってここまで調べた。これを超える部分だけを教えてくれ』」の時代丨メモしたい、法務の言葉

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メモしたい法務の言葉とは?

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Problem Statement (問題の所在)

法務部員・組織内弁護士は、不確実性が高まる環境の中で、社内のクライアント(依頼者、経営者、事業部門など)の意思決定を十分な情報に基づいて支援する役割を担います。 しかし、日々の業務で何をすべきか迷うときもあります。

ソリューション

定期的に、法律雑誌などで見つけた「珠玉の言葉」を紹介します。 ノートやスマホにメモすることで、自分を鼓舞したり新しい気付きを得るきっかけになることを期待しています。

想定する読者

法務部門の方(とりわけ組織内弁護士・インハウス弁護士)、外部弁護士の方、ロースクール生・司法修習生の方

松尾剛行弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所)の言葉

松尾剛行弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所)「海外のクライアントは⋯『自分たちは日本法につき生成AIを使ってここまで調べた。これを超える部分だけを教えてくれ』と言ってきます。」

松尾剛行=酒井智也=松井裕喜「スペシャル鼎談 AI時代、法務はこのままでいいのか?―3者の立場からの実践対話」会社法務A2Z 2025年11月号36-43頁

中堅組織内弁護士による分析(個人的な考え)

松尾先生のご意見に、私も全面的に賛同いたします。今回の鼎談は非常に刺激的で、まさに法務の本質的な変化を捉えていると感じました。 この流れは国や業種を問わず、今後ますます一般化していくと思います。

実際、AI登場以前から優れた法務部門では、すでにこうした発想が根づいていました。たとえば、 「当社としては調査の結果、〇〇と考えております。この見解が法的に正しいかご確認ください。」 英語ではよく “Please verify our view below.” と表現されます。 このように、自社としての仮説や立場を明確に示したうえで確認を求める―その姿勢こそが、リーガルパーソンとしての成熟度を測る重要なポイントだと思います。

そして、AIの時代、外部法律事務所や外部弁護士は、AIが提案した「仮説」を専門家の観点から、素早くどこが正しくて、どこが正しくないのかを分析することが特に求められる付加価値になる可能性があります。

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補足情報

ゆる募:お悩み相談箱

法務部員・組織内弁護士としての大切なことや日々の悩みは、誰かに話すだけでも心が軽くなるものです。もし「取り上げてほしい」「ちょっと聞いてほしい」と思うことがあれば、どうぞ遠慮なくメールフォームからお寄せください。いただいたご相談は、できる限り丁寧に目を通し、少しでもお力になれればと考えています。

なお、法律相談に関しては直接対応いたしかねますので、お近くの法テラスにご相談ください。それ以外のお悩みや想いは、いつでもお待ちしております。あなたの声が、きっと誰かの力にもなります。

リーガルリスクマネジメントの教科書とは?

リーガルリスクマネジメントの教科書』(日本加除出版)は、2023年に出版された教科書です。リーガルリスクマネジメントという臨床法務技術を独学で学んでいただけるよう、心をこめて作成いたしました。きっと喜んでいただけると思います。

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渡部友一郎『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』(日本加除出版、2023)

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。