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テック企業の組織内弁護士が意識すべき「安全管理の役割」とは?丨精読『Workplace Strategies for Technology Lawyers』[9/36]【木曜/土曜 掲載】

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在) 私は、現在、『リーガルリスクマネジメントの教科書』の姉妹編となる「新しい書籍」を心を込めて執筆しています。新著は、組織内弁護士として、法務部門の中で、少ない摩擦で充実した活躍をするための様々な私の失敗と学びを透明性をもってまとめた本になります。法律の専門家から組織内弁護士への「transformation」には多様な支援が不可欠です

ソリューション ある日、Amazonの書籍の中に、海外の組織内弁護士に対して同じ視点からTip(ヒント)を提供している書籍に出会いました。本書は「Do you want to stand out as a successful in-house counsel?」と問いかけます。海外と日本の違いはあるかもしれませんが、海外で100以上の高レビューを獲得している書籍を一緒に精読していきましょう。

想定する読者 法務部門の方(とりわけ組織内弁護士)、外部弁護士の方、ロースクール生・司法修習生の方

テック企業の組織内弁護士が意識すべき「安全管理の役割」とは?

講義ノート

本書の筆者は、テック企業の法務担当者には、法的観点だけでなく、チーム全体の「安全管理者(セーフティオフィサー)」としての視点が求められるという考え方を紹介しています。これは、プロダクトの不具合やコミュニケーションのミス、優先度のズレなどを見つけたら、必ずしも法務だけの問題でなくても積極的に指摘し、プロジェクト全体をスムーズに進行させる役割を担うということです。本書の筆者によれば、ビジネスを阻害しない程度に周囲と連携を取ることで、企業全体のリスクを低減し、チームの信頼を獲得することが期待できるようです。

私個人の考え⋯皆様はどう思われますか?

私個人の考えとしては、法務担当者が「安全管理者」としての役割を果たすことに大いに賛成です。皆様はどう思われますか?

私は「賛成」です。

たとえば、スポーツチームを想像してみてください。各ポジションにはそれぞれ専門の役割がありますが、もしチームメイトに明らかな負傷の兆候が見られたり、戦術上のミスが発生しそうであれば、専門外であっても誰でも声をかけるべきでしょう。

同じように、テック企業の法務が法的リスクだけでなく、納期のズレやバグの見落としなど、チーム全体に関わる潜在的な問題をキャッチして報告することは、結果的にプロジェクトの成功を後押しすることになります。

もちろん、いつでも首を突っ込みすぎると煙たがられる可能性もありますが、適切なコミュニケーションとタイミングを心得ていれば、法務の専門性を越えた貢献が認められ、社内での信頼が深まるでしょう。

ここまで読んでいただいた方は、法務の“安全管理者”としての姿勢について、どのように感じられますか。ぜひご意見をお聞かせください。

Workplace Strategies for Technology Lawyers ―原典の推薦―

David Sclar. (2021). Workplace Strategies for Technology Lawyers.

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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