1. 本日のピックアップ
中央経済社様の「ビジネス法務11月号」からピックアップ。
「コンプライアンス研修では社長自身が参加することが重要である」―を謹んでピックアップしました。
- 木目田裕弁護士は、西村あさひ法律事務所のパートナー弁護士で、危機管理の実務におけるパイオニアとして知られています。先生は検察官としての経歴を持ち、東京地方検察庁特別捜査部や法務省刑事局などでの勤務経験を経て、企業の危機管理において幅広い分野で活躍しています。具体的には、金商法違反や独禁法違反、営業秘密の漏洩、サイバーセキュリティ、贈賄など、企業不祥事に関する多くの案件に対応してきました。また、先生は第三者委員会の委員として企業の調査や再発防止策の構築を行うなど、企業ガバナンスの強化にも貢献しています。
- 木目田先生は「コンプライアンス研修には社長自身が参加することが重要である」と述べており、これは企業のトップが自らコンプライアンスにコミットすることで、全社員に対してその重要性を伝え、従業員の意識改革を促進するための有効な手段であると考えられます。経営者自らが研修に参加することで、コンプライアンスが単なる形式的なものでなく、企業文化の根幹に関わるものであることを強調できます。
- コンプライアンスの重要性を伝えるためには、企業のリーダーシップが不可欠です。社長が直接参加し、その重要性を自ら示すことで、従業員は「言葉」ではなく「行動」でそのメッセージを受け取ることができます。例えば、企業不祥事が発生した際に、社長自らが責任を持って対応する姿勢を見せることで、従業員に対してコンプライアンスの重要性が単なる建前ではなく、実際の行動指針であることを示すことができます。
- 他方、社内からは次のような素朴な反論も考えられます。「社長がコンプライアンス研修に参加することは、時間とリソースの無駄遣いではないか。むしろ、日常業務に専念することで会社の成長に貢献し、現場でのコンプライアンス遵守は専門のコンプライアンス部門に任せるべきではないか。」
- しかし、社長がコンプライアンス研修に参加することは、単なる時間の浪費ではなく、むしろ「企業文化の構築」に不可欠な投資です。社長自らがコンプライアンス研修に参加し、従業員と同じ視点で学ぶことで、リーダーシップの「一貫性」と「透明性」が示され、全従業員がコンプライアンスを他人事ではなく「自分ごと」として捉えるきっかけになります。実際、社長が参加している研修で、内職する人・仮眠をしている人は通常いないと思われます(誰がいても真面目に受講すべきという理想論はさておき)。
このように、木目田先生の言葉は、企業の長期的な発展と安定のために非常に重要であり、コンプライアンスの文化を根付かせるためには、トップの強いコミットメントが欠かせないことを再確認するものですので、ピックアップしました。
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(了)
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