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【日曜朝連載】 探せ!法律英語文書に潜む二重・三重の表現丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第17回

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、まず、「すべての法律文書に共通」する合計20のルールを与えてくれます。20のルールは、わかりやすく「3つの箱」に分類されています。今回の鍵は下記ハイライト部分に関するルールです。

第1部:すべての法律文書における原則
1. 思考の枠組み
2. 文章のフレーズ
3. 言葉の選択

目次 Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

[No.16/計20] 二重・三重の表現を避ける

メモ

ガーナー教授は、法律文書における「二重表現や三重表現(doublets and triplets)」の惰性とも言える使用に警告を発しています。

伝統的なフレーズに見られるような冗長性が、現代においてほとんど意味を持たないことを指弾します。

例えば、「alienate, transfer, and convey」のようなフレーズは「transfer」だけで十分な意味を持つと指摘します。

さらに、「due and payable」「give, devise, and bequeath」「indemnify and hold harmless」「last will and testament」なども、より単純な言葉で置き換え可能と指摘します。

法律的に必須でないこれらの二重・三重の表現は、「思慮のない思考」を助長するといいます。目指すべきは、可能な限り一度で伝えることです。重要なリマインダーとして、教授は、「旧式のフォームを無批判にコピーする」ことをやめようと私達を啓発します。

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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<後日更新いたします>

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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