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メモしたい法務の言葉とは?
スキャデンの熊木明弁護士が凄い⋯
熊木明先生は、2025年6月にもJILA(日本組織内弁護士協会)で英文契約について講演をされた、著名なスキャデン・アープス東京オフィス パートナー弁護士です。
熊木先生は、東京大学経済学部卒業(2000年)、最高裁判所司法研修所修了(2001年)後、日本で弁護士登録し、2007年にコロンビア大学ロースクール LL.M. を取得した日本およびカリフォルニア州の二法域の弁護士です。現在、スキャデン・アープス法律事務所東京オフィスのパートナーとして、M&A、プライベートエクイティ、証券法案件に加え、サイバーセキュリティ・データプライバシーを含む企業法務全般をリードしています。
公表されている資料によれば、アドバンテストによる Verigy の USドル11億買収提案やソフトバンクによる Sprint の USドル216億買収など、数々の大型クロスボーダー取引を支援。実績は The Legal 500 Corporate/M&A&Joint Ventures 部門「Next Generation Partner」受賞(2024年)や IFLR1000 M&A 部門「Highly Regarded」(2024年)など国際的評価につながっています。まさに日本を代表するスター弁護士です。
スキャデンの熊木明弁護士のメモしたい言葉
(インパクトのある法務の人として)「会社内の事業部門との意思疎通ができている人」及び「会社としての見解を主張する人」
熊木明弁護士(スキャデン・アープス)
熊木明「契約交渉における2つの武器」ビジネス法務2025年8月号32-33頁
中堅組織内弁護士による分析(個人的な考え)
熊木先生の記事で特に感銘を受けたのは、交渉をテーマにした特集の中で、読者の中心である法務部や組織内弁護士に焦点を当てている点です。多くの記事が執筆者自身の交渉力や経験の披瀝に重きを置きがちななか、先生は代理人としての限界を踏まえたうえで、「インパクトをもたらす法務担当者の在り方」を二つの具体例で示しています。
つまり、法務部の当事者・代理人の力量やテクニックだけを語るのではなく、「依頼者がどのように交渉を支援すれば成果が高まるか」を明確に描き出しているため、読者は舞台裏の視点から学びを得やすくなっています。その構成力と読者への配慮は、短い2ページの中でも際立っていました。
交渉術に関する原稿は、書き手の立場や経験によって多様なスタイルがありますが、熊木先生は自身の経験を過度に誇示することなく、限られた紙幅で実務に役立つ知見を具体的に提示しています。こうしたアプローチは、実務家として非常に参考になると感じました。
誤解があれば恐縮ですが、私の交渉観を述べます。交渉の成否は、法務担当者個人の技量だけでなく、会社の看板や力関係といった組織・環境の要素に負うところが大きいと感じています。それでも当事者は、自身の技術こそ結果を導いたとややドラマチックに(成功や苦労を)語りがちです。しかし、非公開の情報─交渉相手や力関係─を考慮すると、一人の成果というより、周りの助けや相手方の配慮など、見える要素と見えない要素の重なり合いが大半ではないでしょうか。
補足情報
ゆる募:お悩み相談箱
法務部員・組織内弁護士としての大切なことや日々の悩みは、誰かに話すだけでも心が軽くなるものです。もし「取り上げてほしい」「ちょっと聞いてほしい」と思うことがあれば、どうぞ遠慮なくメールフォームからお寄せください。いただいたご相談は、できる限り丁寧に目を通し、少しでもお力になれればと考えています。
なお、法律相談に関しては直接対応いたしかねますので、お近くの法テラスにご相談ください。それ以外のお悩みや想いは、いつでもお待ちしております。あなたの声が、きっと誰かの力にもなります。
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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。
(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
Problem Statement (問題の所在)
法務部員・組織内弁護士は、不確実性が高まる環境の中で、社内のクライアント(依頼者、経営者、事業部門など)の意思決定を十分な情報に基づいて支援する役割を担います。 しかし、日々の業務で何をすべきか迷うときもあります。
ソリューション
定期的に、法律雑誌などで見つけた「珠玉の言葉」を紹介します。 ノートやスマホにメモすることで、自分を鼓舞したり新しい気付きを得るきっかけになることを期待しています。
想定する読者
法務部門の方(とりわけ組織内弁護士・インハウス弁護士)、外部弁護士の方、ロースクール生・司法修習生の方