【日曜朝連載】多重否定を避けない回数を増やさない(→多重否定を避ける回数を増やす)丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第11回

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、まず、「すべての法律文書に共通」する合計20のルールを与えてくれます。20のルールは、わかりやすく「3つの箱」に分類されています。今回の鍵は下記ハイライト部分に関するルールです。

第1部:すべての法律文書における原則
1. 思考の枠組み
2. 文章のフレーズ
3. 言葉の選択

目次 Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

[No.10/計20]多重否定を避ける

メモ

ガーナー教授は、複数の否定を避けることを強調します。「否定表現」を「肯定表現」に置き換えることで、文章が明瞭になります。禁止事項を明記する際には否定形が必要ですが、可能な限り、直接的かつ明確な表現を心がけることが大切です。

悪い例「A member who has no fewer than 25 years of credited service but has not yet attained the age of 60 years and is not eligible for retirement may not voluntarily retire early without first filing a written application with the board.」 (25年以上の勤続年数がありながらも60歳に達しておらず、かつ退職資格がないメンバーは、理事会に書面での申請を行わなければ、早期退職することができません。)
良い例「Even if you’re a member who is not otherwise eligible for retirement, you may voluntarily retire if you are under the age of 60 and have at least 25 years of credited service. To do so, you must file a written application with the board.」 (退職資格がないメンバーでも、60歳未満で25年以上の勤続年数があれば、早期退職が可能です。そのためには、理事会に書面で申請を行う必要があります。)
Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press. pp. 57-58.

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

関連記事

<後日更新いたします>

***

ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

渡部推薦の本丨足りない、は補えばいい