Matthew Dixon, Ted McKenna, Rory Channer, Karen Freeman (2023). What Today’s Rainmakers Do Differently, Harvard Business Review, 101(6), 72-81.
プロフェッショナルサービス業界(士業)において変革を推進するには、アクティベーターとしての行動を促す「プッシュ・プル戦略」が必要です。「プッシュ・プル戦略」には、下記に掲げるようなトレーニング、採用、テクノロジー、インセンティブが含まれます。
- McDermott Will & Emeryは、パートナー向けのグローバルトレーニングプログラムを通じて、強力なクライアント関係を構築し、収益増加に貢献しています。
- Eversheds Sutherlandはアソシエイトレベルでビジネス開発トレーニングを提供しています。
- 採用とパートナー選定では、協力の傾向を含む新たな基準を重視することが求められます。
- テクノロジー投資では、AIやCRMシステム、ソーシャルプラットフォームがアクティベーター行動を強化するのに役立ちます。例えば、Capstone Partnersは関係インテリジェンスソフトウェアを使用して、パートナーと見込み客の関係を明らかにし、効率的なリード生成を実現しています。
- 最後に、インセンティブと報酬を通じてアクティベーター行動を強化することが重要です。Baker McKenzieでは、コラボレーションを報酬メモの一部として求め、McDermott Will & Emeryでは、パートナーが週に少なくとも2つのビジネス開発活動を行うことを奨励しています。
これらの取り組みにより、クライアントへのサービス向上とビジネスの成長が期待されます。
なお、本稿は1つ大きな盲点があると考えています。それは、研究対象としている米国系ファームと比較して、歴史的にCollaborationに秀でているといわれチームワークを特色とする英国系(マジックサークル)などのファームとの報酬体系の違いです。米国系のEat What You Kill方式ではなく、英国系はロックステップ方式を採用しているため、伝統的に、Collaborationについてはパートナーの評価項目にしっかりと盛り込まれているのではないかと個人的に推察しています。米国の論文なので致し方ありませんが、このあたりは1つ今後は比較して検討することが望ましく、Collaborationに関するパートナー評価のBest Practiceは個人としても色々うかがい知見を深めたいです。
今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
毎朝4時台に起床して勉強時間を捻出しています。さて、最新号の特集で最も心惹かれた論文の1つがこちらです。レインメーカーとは「法律事務所にお金をもたらす案件を雨のように降らす人」のことです。日本語で思い切って原題を意訳するなら『パートナー弁護士 革命』でしょうか。本稿は、原文[リンクはネット版]をぜひパートナー弁護士の先生方はご高覧ください。
では、法律事務所において、パートナー達が自分たちの殻に閉じこもらずに、B&Mの事例のように「アクティベーター」の行動を強化するためには、どのような経営戦略を講じることができるのでしょうか?
(*)英語力が乏しいためノロノロと順次、テクノロジーの力を借りつつ整理しておりますが、毎号素晴らしい学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、Blogをきっかけに、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。