本日の「ハーバード・ビジネス・レビューを読もう」の目次
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Amazonの”Catalog AI”全貌丨一緒に学ぶ論文はこちら
Stefan Thomke, Philipp Eisenhauer and Puneet Sahni (2025). Addressing Gen AI’s Quality-Control Problem: What Amazon learned when it automated the creation of product pages, Harvard Business Review, 103(5), 60-67.
Amazonの”Catalog AI”全貌丨全体像丨わかりやすくまとめてみる
<わかりやすくまとめてみる>
Amazonは、生成AIという「新人」を単に野放しにするのではなく、以下のような仕組みで戦力化しました。
🏎️ やる気はあるが「知ったかぶり」をする新人:生成AIは仕事が驚くほど速いですが、初期段階では平気で嘘をついたり(ハルシネーション)、的外れな提案をしたりします。そのままでは8割が使い物になりません。
👮 先輩社員(監査役AI)による徹底的なダブルチェック:人間がいちいちチェックしていては日が暮れます。そこで「作るAI」とは別に「チェックするAI」を用意し、論理矛盾やルール違反がないかをAI同士で相互監視させ、自動で品質を担保しています。
📊 会議室の空論ではなく「現場の数字」で評価:上司(人間)の「こっちのデザインが良いはずだ」という直感に頼るのをやめました。AIが作った案を自動的に実際の顧客に見せ(A/Bテスト)、本当に「売れたかどうか」という結果だけを正解とします。
🚀 人間には不可能な「年間数千万回」のPDCA:人間なら年間に数千個の改善案を出すのが限界ですが、このシステムは数千万個の仮説を検証します。失敗からも学び続け、勝手に賢くなっていく「自律的な最強の営業部隊」を構築したのです。
全3回の論文の内容を、ここにいる法務部門の我々みんなで、順番に抑えていきましょう。
Amazonの”Catalog AI”全貌丨個別丨本日のポイント
信頼性の壁を突破する「AIによるAIの監査」システム
本論文によれば、Amazonの生成AIシステム「Catalog AI」は、導入当初、出力の約80%が不正確であり、存在しない情報を捏造する「幻覚」や無関係な記述の問題に直面した。これに対処するため、Amazonは厳格なガードレールを構築した。具体的には、重量の単位記載などを強制する「単純なルール」や、過去データに基づく管理限界を超えた出力を検知する「統計的プロファイル」である。さらに、「AIがAIをチェックする」仕組みを導入した。これは、仮説生成を行うLLMとは別のデータで訓練された「レビュアーLLM」が、画像の整合性や論理的誤りを相互に監査するものであり、人間によるレビューを行わずに、拡張性のある品質管理を実現している。
Amazonの”Catalog AI”全貌丨30秒考えてみよう。
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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。
(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。