
得津晶教授(一橋大学)の言葉丨目次
メモしたい法務の言葉とは?
得津晶教授(一橋大学)の言葉
「業法や最先端の法制度には機能的な分析がなされているのに対して、基本科目に近い法律ほど機能的な分析が忌避されてきた。」
―得津晶教授(一橋大学)
得津晶「「攻めの法務」と「法と経済学」」ビジネス法務2025年11月号1頁
中堅組織内弁護士による分析(個人的な考え)
得津晶「『攻めの法務』と『法と経済学』」(『ビジネス法務』2025年11月号1頁)において、得津教授は「基本科目に近い法律ほど機能的な分析が忌避されてきた」と指摘されています。そして攻めの法務に関連して、アカデミックな法的分析にとどまらず、現実的・機能的なリスクの分析が必要であると述べられています。私自身もこの点には賛成です。そのうえで、教授は法と経済学の効用について説明されています。
私としては、法と経済学という学問領域を特別に取り出すかどうかは別としても、リスクのライクリフッド(発生可能性)やインパクト(影響度)を評価する際には、データが不可欠である点については、おそらく誰しも異論がないのではないか、と考えています。単に「こういう可能性もある」「こういうリスクも考えられないではない」といったレベルではなく、ビジネスに与えるインパクトをデータで裏づけることが重要です。
実務上も、外部弁護士が「刑事罰や行政処分の可能性があります」と指摘する際に、その根拠として行政文書開示請求によって年度ごとの件数や類型を確認しているのか、あるいは過去の検挙数を白書等で調査した上での見解なのかについては、必ず確認するようにしています。
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