本日の「ハーバード・ビジネス・レビューを読もう」の目次
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Stanislav Shekshnia and Valery Yakubovich (2025). How Pioneering Boards Are Using AI – They’re harnessing it to help directors prepare, debate, and decide, Harvard Business Review, 103(4), 56-64.
全体像丨わかりやすくまとめてみる
<わかりやすくまとめてみる>
本論文をわかりやすく「スポーツジム/スポーツクラブ」(私も週4日通っている生活に不可欠な場所です)など「身近な生活の場面」で考えてみました。誤りがあるかもしれませんが、私の理解は下記のとおりです。
<問題の所在>
🏟️ スポーツクラブを想像してください(混ぜるな危険):新しい会員を増やすほど良いわけではなく、既存会員との相性を見ないとトラブルが起きます。
<4類型>
└ 🧘 分離コミュニティ型:ジムでヨガはスタジオ、筋トレはフリーウェイトと分かれていれば干渉せず共存できます。
└ 🕸️ 接続コミュニティ型:フットサルの即席チームやフリマは人が多いほど楽しく、参加者が増えるほど価値が高まります。
└ 🎣 リーダーとフォロワー型:釣り名人が使う道具を一般の釣り人が真似して広がるように、上手い人の選択が全体を導きます。
└ 🐾 両立不能型:ドッグランで超小型犬と大型犬が同じエリアだと不安が募り、双方が楽しめなくなります。
<つまり>
🚧 機能の衝突です:プールの「遊泳レーン」と「水中ウォーキング」が同じコースだと互いに進みにくくなります。
🎭 ブランド像の衝突です:老舗喫茶が急に派手なメニューに寄ると、落ち着いた雰囲気を好む常連が離れます。
🏍️ ユーザー同一性の衝突です:硬派なバイク集会が観光バス客で埋まると、所属のシンボルとしての意味が薄れます。
🏳️🌈 イデオロギーの衝突です:サッカークラブのスタンドで政治的横断幕が増えると、価値観の対立が先鋭化します。
<対応策>
🧩 まずは分けます:時間帯・エリア・サブブランドを分け、ヨガと筋トレのように接触を減らして両立させます。
🏅 次に序列を作ります:師範・段位やプロ会員特典のように、リーダーとフォロワーの階層を明確にして象徴性を守ります。
🚫 最後は“参加お断り”もあります:ルールを守らず全体の体験を壊す層は、料金や条件で入場を制限します。
🧪 小さく試して学びます:告知先を分ける、限定バッジを出す、時間帯を変えるなど、スモールテストで摩擦を観察します。
🎯 まとめ:新規の会員を足す前に「分離→序列→最終手段」の順に手当てをします。
法務部門は、コーポレート部門として、新しい事業に伴走することも多い一方で、一歩引いた目で事業を観察できるポジションでもあります。法務部門・組織内弁護士として、新規ユーザー獲得を事業部が目指し始めたとき、全3回の論文の内容をそっと教えてあげることができたら素敵だと思います。それでは、今回のポイントを見ていきましょう。
個別丨本日のポイント
はじめに、本論文は、顧客セグメント間の「4つの類型」と成長の落とし穴について指摘します。
- 成長を求めて新規セグメントに手を伸ばすと、既存顧客との摩擦が生まれる危険が高まる。
- 著者らはセグメント間の関係を2軸で「4類型」に整理することを推奨する。
- 価値が独立か共同か?
- 他セグメントへの感受性が低いか高いか?
- その組合せから「分離コミュニティ(separate communities)」「接続コミュニティ(connected communities)」「リーダーとフォロワー(leader‑follower segments)」「両立不能(incompatible segments)」の4類型を提示する。
- 筆者らは、具体例として以下を提示する:Nikeは競技別に価値が独立する分離型。LinkedInやeBayはネットワーク効果が働く接続型。Le CreusetやToyota Priusは上位の実ユーザーが下位に波及するリーダー型。Burberryの「chav」連想やKohl’sの若年高価格志向転換は両立不能型の衝突を招いた事例。
- The North Faceは2010年代にストリート志向を加え、売上は2015年の23億ドルから2024年に36億ドルへ増加したが、Kohl’sは2018年から2025年に売上が20%減、株価が89%下落し、2021年から2024年にかけてCEO交代2回という打撃を受けたのである。拡大は関係性設計を誤れば自傷行為になり得る、という点を4類型が示すのである。
30秒考えてみよう。
- 📝 皆さんはどう思われますか?
- 🏢 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
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(了)
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(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。