
◯✕ 問題<正解は末尾>
問1 次の文は正しいか?―「多様な知的・文化的背景を持つチームは、同質で能力の高いチームよりも創造的問題解決に優れると本文は述べている。」
問2 次の文は正しいか?―「現在の弁護士の職務規程は、異分野専門家との報酬共有を奨励し、学際的連携を後押しすると本文は述べている。」
Michele DeStefano, Legal Upheaval: A Guide to Creativity, Collaboration, and Innovation in Law (Ankerwycke 2018). [Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]
デスゲファノ教授によれば、「オープン・ドア」とは、自他の偏見を取り払い多様な人材や場所・過去へ心を開く姿勢を指します。
石のスープの寓話のように、異なる専門・文化・野心を持つ人々が集えば、個々では不足する資源が結集し無限の可能性が生まれます。
デスゲファノ教授によれば、多様性が創造性と組織成果を高め、弱い紐帯も革新を促すと証明しています。しかし、弁護士は競争的気質と規制により扉を閉ざしがちです。第三の場や子供心を取り戻す遊びの時間を設け、心理的安全性を確保することで、法務領域でも協働とイノベーション文化を育めます。
<本日の答え合わせ>
◯✕ 問題
問1 「多様な知的・文化的背景を持つチームは、同質で能力の高いチームよりも創造的問題解決に優れると本文は述べている。」
答 ◯
理由 本文では、Scott Pageらの研究を引用し「知的に多様な集団は同質のエリート集団を上回る」と示されているため正しいです
問2 「現在の弁護士の職務規程は、異分野専門家との報酬共有を奨励し、学際的連携を後押しすると本文は述べている。」
答 ✕
理由 本文では、報酬共有や共同経営を禁止し学際連携を阻むと説明しているため誤りです。
お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。
原著購入の推薦 最後に、本書は「AI時代」到来前の2018年に刊行されながら、リーガルオペレーションや「テック×法務」を先取りし、リーガルテック導入時に直面する障壁を分かりやすく説明しており、非常に学ぶ価値の高い書籍であると考えています。もし研究・実務などでご関心があれば、右のURLからぜひご購入をご検討ください。[Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
毎週日曜の朝に更新し、日本では未翻訳の名著に光を当てます。
著者ミシェル・デステファノ氏はマイアミ大学ロースクール教授であり、ハーバード・ロースクールのエグゼクティブ教育プログラムでも教鞭を執る法律教育者です。米国法曹協会からLegal Rebelに選出され、フィナンシャル・タイムズでも「最も革新的な弁護士」トップ20の一人と評価されています。
現在、Airbnbのグローバル法務で各国のリーガルテックに触れる中で、本書のポイントを自分なり取捨選択して謹んで共有したいと考えました。学びの途上として整理した私なりのメモを、毎週日曜朝に全12回でお届けします。
本連載を最後までお読みいただければ、法律事務所でも企業でも「新しい時代の法律家」に求められる視点をデスゲファノ教授から学べると思います。本書から共に学ぶ時間を、私自身も楽しみにしています。