
問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]
テック企業での組織内弁護士の助言が光る「3要素」
私個人の考え⋯皆様はどう思われますか?
私個人の考えとしては、これら3つの要素をバランスよく提示できる法務こそが、テック企業の成長を支える鍵になると思います。皆様はどう思われますか?
個人的には「強く賛成」です。
たとえば、建物の設計図を描く場面を思い浮かべてみてください。ある程度具体的な間取りや設備を提示する(ガイダンス)と同時に、工事の進捗と今後のスケジュールをはっきりさせる(クロージャー)、そして新しい土地の情報や施主の要望が出てきた際には図面を修正できるようにしておく(余地)ことで、施主や施工業者との摩擦を最小限に抑えながら建設を進めることができます。法務アドバイスも同じで、具体性と柔軟性を両立させることで実効性が高まり、事業を円滑に支援しやすくなるのです。
また、コミュニケーションに誤解は必ず生じますが、事業部門(社内のクライアントの)「思ってたんと違う!」ということは、事業のスピードが特に早いテック企業そしてスタートアップで生じがちですので、この3要素の助言は素晴らしい指摘だと共感しています。
さらに、外部弁護士としてテクノロジー企業をサポートする場合も、この3つの要素を強く意識しておくべきだと考えています。社外だからこそ把握しきれない情報が多く、状況が変化しやすい分、初期のアドバイスにどのような前提があるかを明確にし、「必要があれば常にアップデートする準備がある」と示すことは、企業との信頼構築に役立つでしょう。
ここまで読んでいただいた方は、この3つのうちどれを最も重要だと感じますか。ぜひご意見をお聞かせください。
Workplace Strategies for Technology Lawyers ―原典の推薦―
David Sclar. (2021). Workplace Strategies for Technology Lawyers.
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
Problem Statement (問題の所在) 私は、現在、『リーガルリスクマネジメントの教科書』の姉妹編となる「新しい書籍」を心を込めて執筆しています。新著は、組織内弁護士として、法務部門の中で、少ない摩擦で充実した活躍をするための様々な私の失敗と学びを透明性をもってまとめた本になります。法律の専門家から組織内弁護士への「transformation」には多様な支援が不可欠です。
ソリューション ある日、Amazonの書籍の中に、海外の組織内弁護士に対して同じ視点からTip(ヒント)を提供している書籍に出会いました。本書は「Do you want to stand out as a successful in-house counsel?」と問いかけます。海外と日本の違いはあるかもしれませんが、海外で100以上の高レビューを獲得している書籍を一緒に精読していきましょう。
想定する読者 法務部門の方(とりわけ組織内弁護士)、外部弁護士の方、ロースクール生・司法修習生の方