速報/御礼丨リーガルリスクマネジメントの教科書 重版へ(詳細はこちら)

【日曜朝連載】当事務所の見積もりはあくまで見積もりです(以上)丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第32回

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「将来は、グローバルな力も高めたい…でも、英文契約書は怖い」「法律英語が上達しない」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、私たちに「すべての法律文書に共通する」20のルール(連載第1回〜第21回参照)と、「あなたの英語を、分析的・説得的に働かせる技術」(連載第22回〜第31回参照)の10のルールを教えてくれます。

いよいよ、第3章「法的ドラフティングの原則(PRINCIPLES MAINLY FOR LEGAL DRAFTING)」に入りました。この章を一緒に読んでいくことで、読者の皆さまはリーガルライティング(英文契約書のドラフトを含む)の基本原則や実務に役立つ技術を学ぶことができます。ガーナー教授の教科書を精読することで、法律英語の力をさらに一段階高め、より高度なレベルに引き上げていきましょう。

§31: Draft for an ordinary reader, not for a mythical judge who might someday review the document.

講義ノート

ガーナー教授は、法的文書(legal documents)は、一般の読者(ordinary readers)向けに平易な言葉(plain language)で書くべきであり、仮想の裁判官向けに難解な法的表現(legalistic style)を用いるべきではない、と述べています。教授は、主張の論拠として、①多くの法的文書は裁判にならず、裁判官が目にすることは稀であること、②専門用語を避け、平易な表現を使うことで、文書が関係者にとって理解しやすくなり、誤解(ambiguities)や紛争の発生(litigation)を防ぐこと、を挙げています。

例えば、教科書では、弁護士・依頼者間の見積もりに付された「文言」を取り上げ、難解な法的表現(legalistic style)を、平易な言葉(plain language)で「当事務所の見積もりはあくまで見積もりです」(Our estimates are just that: estimates)と簡潔にすることで、依頼者に明確な情報を伝えることができるという例が取り上げられています。

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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