【日曜朝連載】さようなら「見出し」のない法律文書丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第5回

DALL-E(AI)による「見出し」のある良い法律文書のイメージ

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

第5回の読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、多種多様なレゴブロックを、部品と色ごとに整理したような「魔法の整理術」そのものです。はじめに、教授は、長々下手くそな法律文書を書く私達のために、合計20のルールを与えてくれます。この20のルールは、すべての法律文書に共通し、さらに、3つの箱に分類されています(下記)。

第1部:すべての法律文書における原則
1. 思考の枠組み
2. 文章のフレーズ
3. 言葉の選択

目次 Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

読者は、読了により、「思考の枠組み」という3つのうち1つの箱にしまってある鍵『§ 4. Use informative headings to mark sections and, if helpful, subsections. / セクション(サブセクション)を示すために「情報量の多い見出し」を使用』を理解して、自分・チームの業務を改善できます。

[No.4/計20]さようなら「見出し」のない法律文書

メモ
  • ガーナー教授によれば、法律文書において、「情報量の多い見出し」の活用は、内容の明確化と読者の理解促進に重要であるとされる。なぜなら、たとえ論理的構成に成功している文書であっても、「見出し」を欠く場合には、忙しい読者には見落とされる可能性があるからである。
  • ガーナー教授は、「見出し」は、①文書内の各ポイントに関する要点を簡潔に示すために使用し、②太字(ボールド)で目立たせることを推奨している。
  • 読者は情報の流れを追いやすくなる。
  • さらに「見出し」は、考えの分類、明確な方向性の提供、視覚的な変化、テキストの読み飛ばしの容易さのメリットも併せ持つ。
  • 熟練した法律家たるには、書き始める前に主要な命題を把握し、各命題を支持する文章を書くことが鍵となる。ガーナー教授によれば、未熟な法律家は、往々にして、伝えるべきメッセージを完全に理解しないまま(とりあえず)書き始める傾向がある。とりあえず書き始める手法は、冗長で、まとまりのない文書という結果をもたらす。

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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(了)

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