Kiran Bhatti and Thomas Roulet (2023). Helping an Employee in Distress – Managers shouldn’t try to be therapists, but they should know the basics of mental-health first aid, Harvard Business Review, 101(5), 38-45.
1. 感情的な困難に対応する
- 上司として、部下が心の苦しみを経験していることを認識した際、それが維持される原因を特定すべきである。
- 上司は、セラピストではないが、セラピューティックな関係スキル、特に「共感」を学ぶことができる。
- 共感は、相手の経験を完全に理解することに焦点を当てている。
2. アクティブリスニング(筆者注:「傾聴」)の実践
- 話を聞く際、アクティブリスニングを心掛け、信頼関係を築くべき。
- 部下が自分の考えや感情を中断されることなく表現できる環境を作る。
3. 非批判的な態度を保つ
- 部下の意見や感情を受け入れ、自身の意見を押し付けないよう心掛ける。
- 非批判的な態度で、職場における心の健康に対する偏見や恥を減少させることができる。
4. 行動の変化を促す
- 上司として、部下の心の健康を改善するための手法やテクニックを紹介できる。
- 例: 認知の再構築(cognitive reframing)
5. 認知の再構築のステップ
- 役立たない(=実は心配ご無用な)考えを特定する。
- 例: 部下が休暇中の仕事の進行に対する不安を持つ場合。
- その考えを評価する。
- 例: 部下の否定的な考えに対する証拠を検討。
- より現実的な視点を育む。
- 例: 部下が休暇後の仕事量に対する新しい視点。
6. 行動の活性化
- 喜びを経験する機会を増やすことで変化を促進する。
- 例: 散歩、友人との昼食、特定の業務の完了。
- 職務の再検討を通じて、部下が本質的に報酬を感じる業務に焦点を当てる。
7. サポートと非批判的な態度の維持
- 上司は、部下の能力に対する信頼を示し、部下の仕事や私生活の意義ある側面に再接続するのを助けるべき。
8. 個人のエージェンシーの重要性
- サポートや励ましを提供できるのは上司だが、変化を起こす主要な行動者は部下自身。
- 認知行動療法の前提は、困難を経験している人が変化を起こす能力と責任を持っていること。
- 部下は、自分の考えや行動のパターンを認識し、ネガティブなサイクルを断ち切る戦略に取り組むべき。
今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。
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(了)
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毎朝4時台に起床して、なんとか勉強時間を捻出しています。さて、ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読み、後日、講演・執筆で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。
心理学学士・認定心理士を取得し、最高の法務サービスを提供するには「心」の理解が大切と考えています。前回取り扱った、AIが「人の心」に与える影響に続いてワクワクと興味を惹かれたのがこちら、『部下のメンタルヘルス』を論じた論文でした。
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