
William Liu, AI-Powered Law Practice: Boost Efficiency and Profits with AI – A Practical Guide for Solo and Small Law Firms (The AI Business Series, paperback ed., July 30, 2025).
🚖 本章は「法律事務所=個人タクシー運転手」にたとえると分かりやすいです(多分)。AIは高性能ナビと配車アプリ、自動精算の総合ツールで、同じ車でも速く正確に、安定した品質で走れるようにする道具です。
- 🗺️ 第1段階は「超賢いナビ」です。判例や法令という道路網を一瞬で検索し、最短経路を提示します。迷走が減り、到着予測が正確になります。
- 🧰 第2段階は「自動点検と積み込み」です。契約書や証拠の下ごしらえをAIが一気に処理し、運転手は運転に集中できます。
- 🧠 第3段階は「統合ディスパッチ」です。予約受付、スケジュール、料金見積、到着予測をひとつの画面で最適化し、1日の走行計画が滑らかになります。
⏱️ 以前は3〜5時間かかった下調べが45〜90分で終わるので、同じ労働時間で乗車回数が増えます。渋滞回避も精度が上がり、遅延が減ります。
📈 料金と売上も改善します。早く正確に到着できる運転手は指名が増え、紹介が増え、月次の売上が25〜50%伸びやすくなります。
🧪 導入は「30日でナビ導入、次の30日で運行動線の最適化、さらに30日で専門機能追加」という90日プランが安全です。
🛡️ 品質と倫理は「最終判断=ドライバー」に残します。AIが経路や料金を示しても、危険道路や顧客事情は人が確認します。記録と説明を徹底すれば、信頼と満足度が上がります。
著者は、はじめに、市場の現実と「3つの波(Wave)」について説明する。
本書の解説によれば、「2023年から2024年にかけて法律事務所のAI導入が340%増」となった。しかし、「American Bar Associationの2024年調査」に基づくと、1人を含む小規模法律事務所の68%はAIをまだ導入しておらず、AIの先行導入組(弁護士や法律事務所)は、シェアを奪い、シェアを拡大するチャンスであると指摘する。
筆者は、AIの導入について、「Wave 1(法情報検索強化)」でWestlaw Edge AIやLexis+ AIを導入し、次に、「Wave 2(文書レビュー・契約分析)」でKira SystemsやLuminance等を用いて時間圧縮を実現し、「Wave 3(実務全体の自動化)」で案件の受付から、期日管理、ドラフティング、結果予測までを包含することを提唱する。
大規模事務所は承認プロセスと既存の伝統的やり方が重く、この点、変化への機動力に勝る小規模法律事務所に優位性があるとする。
お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。日本の弁護士業界全体のお役に立てば幸いです。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
毎週日曜日の朝に更新し、日本ではまだ翻訳されていない名著に光を当ててまいります。日本の「弁護士業界」においても、規模を問わず、日々の業務を効率化するためにAIをどのように活用するかが議論されております。
しかし⋯すでに答えが示されているのではないか、と唸らされたのが『AI-Powered Law Practice: Boost Efficiency and Profits with AI』(Amazonでハードカバを購入)という原典でございます。私はAmazonにて原典(ハードカバー)を購入いたしました。これからユースケースを模索し、コミュニティーで議論を重ねることも大切ですが、むしろこの英語で記された原典を丁寧に読み解くことの方が、日本全体にとって大きな学びにつながるのではないかと感じ、新しい書籍としてご紹介させていただきます。
もっとも、私自身もまだ学びの途上にございます。本ブログでは、原典に深い敬意を払いながら、私が理解した範囲を例え話とともに整理し、基礎的な部分のみを備忘録として独自にまとめております。そのため、ぜひ直接原典にあたっていただくことを心からお勧めいたします。